伝説ジョン・カーペンター『ハロウィン』新作誕生を語る!
1978年に公開され、全世界を戦慄させたホラー映画の金字塔『ハロウィン』のジョン・カーペンター監督が、殺人鬼ブギーマンのその後を描いた最新作について語った。今作でカーペンターは製作総指揮と音楽を担当。オリジナル版を生かしたプロットや主演のジェイミー・リー・カーティスについて、さらにいまハマっているという日本のガールズユニット、BABYMETAL(ベビーメタル)への思いを語った。
今作はオリジナル版から40年後が舞台。実時間とリンクさせ、同作に主演したカーティスが、主人公ローリーの40年後を演じている。このアイデアを生み出したのは、監督デヴィッド・ゴードン・グリーンと製作総指揮のダニー・マクブライドで、二人は共同で脚本も執筆した。“生みの親”カーペンターは、最初にこのプロットを聞いた時、「ユニークで革新的、素晴らしいアイデアだと思った」と振り返る。「二人はオリジナル版からさまざまな要素を取り入れて、新しいストーリーの中でうまく作用させていた。自分から付け加えることなど何もなく、安心して映画を任せることができた」と若い才能を称賛した。
今作でブギーマンに戦いを挑むローリーを演じたカーティスは、オリジナル版で映画デビュー。「あの時のジェイミーは子供のようだった」とカーペンターが言うように、まだ十代の新人だった。その後は『大逆転』や『ブルースチール』『トゥルーライズ』などコメディーからシリアスまで、多くの映画に出演。英国アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞にも輝く演技派女優に成長した。再会した彼女の実力をカーペンターは高く評価する。「ジェイミーの持ち味は深みのある芝居。当時は持っていなかった高い演技力も備えていた。変わらないのは美貌だね。歳を重ねた今でも、ジェイミーはとても美しかったよ」。
オリジナル版のトレードマークといえば、カーペンター自身による音楽。今作でも作曲を担当し多彩な楽曲を提供した。「今回は息子コディ(・カーペンター)と、私の教え子ダニエル・デイヴィスの3人で音楽を手掛けたよ。私たちは何枚ものアルバムを発表してきた気心の知れた仲間。私にとってとても楽しい作業だった」と嬉しそうに振りかえる。作曲にあたりグリーン監督と綿密な打合せを行ったという。「スポットセッション(実際の映像を見ながらの打合せ)でデヴィッドから細かいリクエストを受け、作曲作業に入るんだ。1978年当時に書いたスコアも生かしつつ、新たな音楽を加えていった」と舞台裏を明かした。
日本のポップカルチャーの大ファンでもあるカーペンター。かつてAKB48のファンを公言していたが、今は新たなお気に入りグループができたという。「BABYMETALに夢中なんだ。彼女たちのパフォーマンスはとても魅力的。初めてライブのDVDを見て、こんな斬新なアイデアはないぞ! と衝撃を受けて以来、AKBよりベビメタさ」と楽しそうにほほ笑んだ。日本の音楽シーンの情報源は日本のポップカルチャーの大ファンであるコディで、彼は年に1度は日本を旅行しているという。コディらと各地でコンサートを行っているカーペンターに、日本でベビメタとコラボのコンサートを開いてはどうかと聞いてみた。「実は息子とそんな話をしたこともあるんだよ(笑)。もし実現したら、とても楽しいコンサートになるだろうね」。
ヘビーな作風で熱狂的なファンを持つカーペンターだが、本人はいたって物静かなジェントルマン。撮影現場を訪れた日を「とても楽しい体験で、日々戦っている体の節々の痛みも忘れたよ」とほほ笑むなどユーモアも忘れない。そのいっぽう、音楽作りの話になると「音楽作りで大切なのは、どうやって感情を盛り上げるかだ」と熱っぽく語り出す。71歳、ホラー映画の帝王の映画への情熱は健在だった。(取材・文:神武団四郎)