注目のNetflixネイチャードキュメンタリーシリーズ、監督らが撮影を振り返る
4月5日から配信を開始しているNetflixオリジナルドキュメンタリーシリーズ「OUR PLANET 私たちの地球」について、製作総指揮のキース・スコーリー、ソフィー・ランフィア監督、撮影監督のジェイミー・マクファーソンが、4月9日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
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本作は、地球上に生息する貴重で儚(はかな)くもある数々の生きものの姿を収めた全8話のドキュメンタリーシリーズ。WWF、Netflix、Silverback Films の共同プロジェクトで、約4年間かけて600名のクルーが世界50か国にて撮影した。ナレーションを デヴィッド・アッテンボローが務めた。
本作の製作意図について、製作総指揮のキースは「われわれ製作陣は、自然を撮影したドキュメンタリー界でビジネスをしてきて、これまで地球の神秘を取り上げてきたが、近年地球の自然は手におえない状況になってきているんだ。そして、何かしなければいけないことに誰もが気づいているはずだ。まさに、いら立つような状況だが、全ては修復が可能なんだ。そんな修復可能であることが、今作を手掛ける原動力になったよ。人々は、『もう困難な状態で、自分たちには何もできない』と諦めるけれど、僕らはその問題を理解はしている。つまり、問題を理解しているんだから、解決策もクリアなはずなんだ。そしてその解決策も、ほとんどはわかりやすいものばかりだ。だから、このシリーズを通して、自然は素晴らしいと人々に訴え、問題に取り組むことを遅らせずに、意思を持つことが必要なんだ」と熱弁した。
では、何がスタート地点になり、どのように焦点を絞っていったのだろうか。「第1話は地球全体を見渡したもので、残りの7話はそれぞれの動植物の生息環境を描いたものなの。そしてエピソードごとに、それぞれの生息環境の中での問題点を指摘しながら、直面している重要な問題に何か解決策はあるのかを考えているわ。それぞれの生息環境がどう機能しているのか、理解しやすいように物語を構成していったわね。わたしが監督した『Frozen World』のエピソードは、海氷を取り上げていて、草のような藻類などをペンギン、クジラなどが餌にして、豊かな生産システムができているけれど、でもその生産システムが、地球温暖化や気候変動によって危機にさらされていることに、このエピソードの最後で気付かされるのよ」とランフィア監督。他のエピソードも同様なアプローチをしながら、問題点を指摘していると付け加えた。
本作のボーナス映像である「OUR PLANET 私たちの地球 -舞台裏映像」で観ることができる、海氷が解け、海中に隠れていた山のような海氷が波を立てて海上に現れる衝撃的な映像について、撮影監督のジェイミーは「おそらく、僕が体験した撮影の中でも、最も緊張感があったね。本当に素晴らしい映像だよ。白夜ということもあり、僕ら撮影クルーが眠っているときや目をそらしたときに、この現象(海氷が解けて、崩れ落ちること)が起きないことを祈っていたよ。ランフィア監督は、この映像を約3週間も待っていたんだ。僕らがヘリコプターで撮影していたときには、海氷は多少崩れていたものの、まだ大きな現象は起きていなかった。おそらくこの現象を撮影できないと思っていたが、そんなときに突如、海氷が動き始め、そして約5キロメートルにも及ぶ海氷が全て崩れ始めたんだ」と息を呑むような撮影の様子を振り返った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)