水谷豊「60代で映画を3本撮りたい」 衰えぬチャレンジ精神に盟友・岸部一徳も驚き
水谷豊が監督を務めた映画『轢き逃げ -最高の最悪な日-』(5月10日公開)の完成披露試写会が16日に都内で行われ、60歳を超えてもなお衰えることのないチャレンジ精神を垣間見せた。この日は、中山麻聖、石田法嗣、小林涼子、毎熊克哉、檀ふみ、岸部一徳、手嶌葵(テーマソング)も来場した。
水谷にとって『TAP THE LAST SHOW』(2017)以来2作目となる監督作で、初の脚本、オリジナルストーリーに挑んだ本作。とある地方都市で起きた轢き逃げ事件にかかわる人々の心の軌跡を描く。
役者として登壇する際はセンターに立つことが多いが、今回は監督として端に立った水谷は、「圧迫感がなくていい」とにっこり。脚本は「60代で映画を3本撮りたい思いがあり、2本目はどうしようとプロデューサーたちと話した時に、『水谷さんが考えるサスペンスが見たい』と言われた」と回顧し、「2日後にアイデアが出てきて、『文字で書いていく』と言ったのがはじまり」と打ち明けた。要するに、「脚本を頼まれてもいないし、僕が書くとも言っていない」そうで、あふれ出るアイデアを「誰も止めてくれなかった」と笑った。
水谷の監督ぶりについては、檀が「決断力があるし、画(え)はきっちりできているし、無駄なカットは撮らない」と説明し、「素晴らしいです。世の中の監督、見習ってください」と力説。水谷は「端にいてもプレッシャーは感じるものですね……」とはにかむと、「撮影が終わると、どう監督をしていたか覚えていないくらいで、改めてそう言われると僕にそんなことができるのか……と思う」と胸の内を吐露。一方で、客観的に役者を見つめることで、集中力を保つことの凄さや、全スタッフと関わることで彼らの才能を直接感じることができたことに触れ、「やって良かった」と感慨をにじませる場面もあった。
そんな水谷と旧知の仲の岸辺は、水谷を「真っ直ぐな人。純粋なところがあって、そそっかしいとか、場所がわからない人とか、いろいろあるけど、いつも挑戦する人」と冗談を交えながら表すと、「60歳を過ぎて監督は僕なら絶対にしないけど、どの年になっても挑戦しようとするところが尊敬できる」としみじみ。水谷は照れ臭いのか、「(岸辺が)しゃべり終わったときに笑ったことが気になるんですが」とツッコミを入れ、会場の笑いを誘っていた。(取材:錦怜那)