玉森裕太、突っ走ってきた20代
「こんなにも難しい役は初めてだった」と最新作『パラレルワールド・ラブストーリー』(5月31日公開)の撮影を振り返ったアイドルグループKis-My-Ft2の玉森裕太。この言葉通り、本作の撮影中はほかの仕事をしていても自身と役を切り離すことが難しかったと明かす。そんな貴重な経験をした玉森が、20代最後の年を迎え、いま感じていることや今後の目標について語った。
シリアスモードな玉森裕太!『パラレルワールド・ラブストーリー』予告編
玉森が『レインツリーの国』以来、4年ぶりに映画の主演を務める『パラレルワールド・ラブストーリー』。人気作家・東野圭吾の同名ベストセラー小説を実写映画化した本作は、2つの異なる世界で繰り広げられる男女3人の恋模様と謎を描くミステリー。玉森演じる主人公の敦賀崇史は、2つの世界に翻弄され、自分が何者なのかわからなくなっていく。
コンスタントに映画やドラマ、舞台で“演じる”経験を積んできた玉森。これまではKis-My-Ft2の仕事と、俳優業はしっかりと切り替えができていたとのこと。しかし本作の撮影中は、常に役を意識し続けるという初めての感覚に遭遇。玉森はそんな特別な作品と共に、20代最後の年に突入した。
「やはり29歳というのは特別な感情があります」と語ると「デビュー以来、とにかくがむしゃらに前だけを向いて突っ走ってきました。初めての経験もたくさんありました」とこれまでの芸能生活を振り返る。
多くの経験を積むことができた一方で、立ち止まって自身を客観視する時間はあまりなかった。30代は少し手綱を緩めて「楽しみたい」と笑顔を浮かべ、「これまではあまり自分を俯瞰(ふかん)で見ることがなかったんです。30代になったら、もう少し余裕を持ちながら進んでいきたい」と抱負を述べる。
具体的なビジョンについては「いつかパパ役とかもやるのかな」とつぶやいた玉森。メンバーの北山宏光が映画『トラさん~僕が猫になったワケ~』で父親役を務めたこともどこか心に残っているのだろうか。「確かにやっていましたね」と笑顔を見せると「まだ現実的ではないですが、年を重ねたとき、いつかはそういう役もしっかりやれるようになっていたい。家族愛とかも表現できるようになれば」と未来へ思いを馳せる。
「30代にいい形で繋げられるように」と位置づけた29歳の1年間。生みの苦しみではないが、かなりの難産のすえに誕生した『パラレルワールド・ラブストーリー』は、玉森にとっても印象深い作品となった。「30代で大きく花開くために」といった意味では、本作で得た経験は、きっと大きな肥やしとなるだろう。(取材・文:磯部正和)