香取慎吾、ドン底に堕ちた男性役に手応え「公開が待ち遠しい」
俳優の香取慎吾が23日、都内で行われた映画『凪待ち』の完成報告会見に出席。人生のどん底まで堕ち切った男性という、これまでのイメージとはまったく違う役柄を担ったことに「いまこのタイミングで出会えたことがありがたかった」としみじみ語った。会見には香取のほか、恒松祐里、吉澤健、リリー・フランキー、白石和彌監督、赤城聡プロデューサーも出席した。
本作は、『孤狼の血』や『彼女がその名を知らない鳥たち』を手掛けた白石監督が、宮城県石巻市を舞台に、一人の男の“喪失と再生”を描いたヒューマンサスペンス。香取は、あることがきっかけで人生のどん底まで落ちた男・郁男を演じている。
メガホンをとった白石監督は、「誰も見たことがない香取さんがこの映画のなかにいます」と自信をのぞかせると、香取も「早くみんなに、一人でも多くの方に観てほしい」と同調。すべてがうまくいかず自暴自棄になる男という役柄に、「そんな男にでも、気遣ってくれる人の優しさがこんなにも痛いものなのかと感じた。郁男を演じている時は、すごく辛かった」と撮影を振り返る。
そんな香取だが、白石監督とのタッグに「一緒にお仕事ができて本当に嬉しかった」と笑顔。監督が過去作で描いてきた世界観が大好きだという香取は、「人って誰でも狂気的な面を持っていると思うんです。自分のそういった部分をやっと表現することができた」と手ごたえを感じており、「いまのタイミングでこの作品に出会えたことは、とてもありがたかった」と感謝を述べた。
本作の公開を待ち望んでいたという香取は、「いつも前向きでいられることはないと思うのですが、なんとか前を向かなくてはいけない時があります。郁男という男がもがく姿を観て、前に進んでみようと思ってもらえたら嬉しい」と作品に込めたメッセージを丁寧に伝えていた。(磯部正和)
映画『凪待ち』は6月TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開