少年は両親を告訴した…中東の社会問題描くレバノン映画、7月に日本で公開へ
中東の貧困、移民などの社会問題を描いて第71回カンヌ国際映画祭の審査員賞、エキュメニカル審査員賞を受賞し、ゴールデン・グローブ賞とアカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされたレバノンの映画『カペナウム(原題) / Capharnaum』の邦題が『存在のない子供たち』に決まり、7月に日本で公開されることが決定した。
本作は『キャラメル』で高く評価された女性監督ナディーン・ラバキーが、スラムで暮らす12歳の少年ゼインの視点で中東レバノンの社会問題に切り込んだ作品。リサーチ期間に3年を費やし、主人公ゼインを始め出演者のほとんどは、似た境遇にある素人を集めたという異色作だ。
主人公の少年ゼインはわずか12歳で両親を告訴し、裁判を起こす。裁判長から、「何の罪で?」と聞かれたゼインは、「僕を産んだ罪」と答える。両親が出生届を出さなかったために、自分の誕生日も知らず、法的には社会に存在すらしていないゼイン。家を飛び出し、それでも懸命に生きようとするゼインは過酷な現実に直面することとなる。
リアリティーを求めながらも、ドキュメンタリーとは異なる「物語の強さ」で世界各国で高評価を獲得した。ナディーン・ラバキー監督は現地時間5月14日より開催される今年のカンヌ国際映画祭で「ある視点部門」の審査員長を務めることが発表されたばかり。(編集部・海江田宗)