TAKAHIRO、ヒゲ姿で俳優として新境地へ
記憶喪失の漁師という、インパクトの強い役柄で長編映画単独初主演を飾るTAKAHIRO。映画『僕に、会いたかった』では、アーティストとして知られる風ぼうとは真逆と言っても過言ではない姿で新境地に挑み、俳優として大きなターニングポイントを迎えたTAKAHIROが、試行錯誤しながら作り上げた印象的なビジュアルや撮影中のエピソード、作品への思いについて明かした。
やっぱりヒゲなしもいい!【TAKAHIROインタビューカット集】
人間の内面を深く描いたヒューマンドラマが好きだというTAKAHIROは、完成した作品を鑑賞し「自分の出演作としてではなく、大好きな錦織(良成)監督の作品を観客として鑑賞している気持ちになれた」と手応えを感じたそう。普段のイメージとは正反対のビジュアルについては、錦織監督と二人三脚で作り上げたという。監督から「汚くしてくれ」との要望を受け、「最初は髪を細いコテでクルクルに巻いて、肌に濃い茶色のファンデーションを塗っていたんです(笑)。それだと行き過ぎた雰囲気だったので、髪は自然な感じを出すためにパーマをかけました」と試行錯誤の様子を明かした。ヒゲ姿については、「口とアゴは地毛、つながりの部分はメイクさんの一流技術でつけていただいています。まるで自分ではないみたい。今後もヒゲ姿は使えると思いました(笑)」と今まで見たことのない自分に出会えたという。さらに、より漁師らしく見えるよう体も作り込んだが、監督からは「大きくしすぎ」との指摘があり絞って撮影に臨むなど、さまざまな努力を重ねた。しかし、実際に地元の漁師と交流してみると、「みなさんすごく体が大きくて、おしゃれな方ばかりでした」と現実の姿に衝撃を受けたという。
撮影中は「演じる時だけ衣装を着るのは嫌で、常に役の衣装のまま過ごしていました」と内面の役づくりへの思いを回想した。「普通に歩いていても全然バレなくて。ヒゲ面で長靴履いてずっと動いているので、島の人たちも『あれ、こんな兄ちゃんいたっけ?』ぐらいの感じでした(笑)。衣装のまま、知らないおじさんと3時間ずっと釣りをしていました」と思い出を振り返り、またプライベートでも来たいと思うほど、島での生活を楽しめたと笑顔をみせた。
長編映画単独初主演という記念の作品が、普段のイメージと真逆であることについて、「人気者でいならない仕事ですが、ファンが離れてしまっても構わないと思えるほどの気持ちで演じた」と本作に懸けた気持ちについて、目を輝かせながらアツく語ったTAKAHIRO。「本当に女性ウケが悪い見た目なので(笑)、日頃応援してくださるファンの方々の期待を裏切る意識で臨みました。別人格として見てもらえる役に挑戦できたのは、本当にうれしかった。今まで僕に興味がなかった方々にも、この映画をきっかけに興味を持っていただけたらありがたい」と、仕上がりに手応えを感じていることをうかがわせる、自信あふれる表情を見せた。最後に、「良い意味で、僕の映画を観たような感覚でいてほしくない。ただ素晴らしい映画を観たという感覚になってくれたら、僕としてはこの長編作品での単独初主演は成功だと思います」と言葉を添えた。(取材・文:村田由美子)
映画『僕に、会いたかった』は5月10日より全国公開