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ゾンビとミュージカルが禁断の出会い!『アナと世界の終わり』監督のゾンビ論

歌っててゾンビに気付かない!
歌っててゾンビに気付かない! - (C) 2017 ANNA AND THE APOCALYPSE LTD.

 イギリス発の青春ゾンビミュージカル映画『アナと世界の終わり』のジョン・マクフェイル監督がスカイプインタビューに応じ、本作にうじゃうじゃ登場するゾンビたちに託した思いを明かした。

【動画】ゾンビに気付かず歌い踊る!『アナと世界の終わり』本編映像

 6秒動画アプリVineでブームを巻き起こした“ライアン・ゴズリングがシリアルを食べてくれない動画”(ゴズリングがアップで映るテレビに向かって、シリアルがのったスプーンをゆっくり近づけていくだけのシュールな動画)の作者ライアン・マクヘンリーさんが手掛けた短編を基にした本作。ガンのため27歳の若さで亡くなったマクヘンリーさんの遺志を継いだマクフェイル監督が、イギリスの田舎町で鬱屈した日々を過ごす負け組高校生たちが、歌って踊ってゾンビに立ち向かう姿を軽やかかつグロテスクに描き出した。

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 「ものすごいホラーファンでゾンビファン」というマクフェイル監督だが、もともとミュージカルはそんなに好きではなかったそう。「もし僕をミュージカルに誘うつもりなら、『いやーいやー!』と言う僕を引っ張っていかないといけないよ(笑)。でも、本作のためにたくさんミュージカルを観たんだ。映画ではボイスオーバーやモノローグが許されない場合が多いけど、ミュージカルだと全ての感情を歌やダンスを通して表明できる。それってキャラクターを発展させるのにすごく簡単なやり方なんだ」とその強みに気付いたそう。「皆にこれを観ておいてと言い続けた映画は『カタクリ家の幸福』(韓国映画『クワイエット・ファミリー』を三池崇史監督がミュージカル化した作品)だよ」。

 観客はキャッチーな歌を通して登場人物を愛するようになり、彼らを待ち受ける死に心を痛める。禁断にも思えるゾンビ×ミュージカルの相性は実に抜群だ。マクフェイル監督は「映画の構造でいえば、第一幕が『ハイスクール・ミュージカル』や『glee』といったティーンコメディーで、第二幕がホラーコメディードラマ。血がいっぱい出てゾンビも出て来るけど、それでもコメディー。だけど第三幕はただホラーなんだ。キャラクターたちと楽しい時間を過ごしたからこそ、彼らを失うかもしれないという点でホラーが生まれる。どのキャラクターも安全ではないと見せることがとても重要だった」と振り返った。

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ジョン・マクフェイル
ふざけるソングライターコンビとジョン・マクフェイル監督(右)

 ゾンビ映画の父ジョージ・A・ロメロ監督はゾンビに反消費主義のメッセージを込めたが、本作は「死を扱うこと」についての映画だとマクフェイル監督は言う。「祖父母や両親、友達が亡くなったりして、ティーンエイジャーになると死が身近になる。サンタクロースがいないとわかったら夢は終わってしまうのと同様に、死について知るとそれを人生から締め出すことはできなくなる。だからゾンビは、ティーンエイジャーの人生に忍び寄る死を表しているんだ。僕たち全員にとってこのテーマはとても身近なものでもあった。その理由はライアンだ。プロデューサー、作曲家もみんな若く、皆が予期せぬ友人の死に向き合っていた」と本作には若くしてこの世を去ったマクヘンリーさんの存在が多分に含まれていると語っていた。(編集部・市川遥)

映画『アナと世界の終わり』は公開中

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