東映アニメ、オリジナル企画を一般公募!「一休さん」リメイクプロジェクトも
「ドラゴンボール」「ONE PIECE ワンピース」「ゲゲゲの鬼太郎」など、数々の人気アニメで知られる東映アニメーション株式会社は6日、オリジナルのアニメ企画を一般募集する新プロジェクト「東映アニメーション 100年アニメプロジェクト」の始動を発表した。
「新しい発想を持つクリエイターと100年続くアニメ企画を発掘する」ことを目的としており、年齢、経歴などを問わず応募が可能。アニメの企画を募集する3種類のコースと、クリエイターや製作プロデューサーを募集するコースの全4種類で構成されている。
アニメ企画コースの内訳は、未経験者が挑戦しやすいアイデア重視のコース A「だれでもアニメコース」、映像製作経験者を主な対象とした企画の完成度を重視するコース B「プロでもアニメコース」、同社を代表するアニメ「一休さん」を自由な発想でリメイクするコース C「みんなでリメイクコース」となる。
各コースごと、大賞には賞金100万円、優秀賞には賞金50万円、奨励賞には賞金30万円を贈呈。大賞作品は企画内容に合わせ、テレビアニメーションやウェブ配信、劇場公開といった展開を予定している。募集期間は2019年9月30日の15 時まで。受賞発表は2020年4月23日を予定している。(20歳未満の応募は必ず保護者の同意が必要)
また、コースDにあたる「クリエイター&製作プロデューサー募集コース」では、20歳以上の経験者を対象に、製作プロデューサー ・演出・アニメーター・美術デザイナー(背景員)を若干名募集する。応募受付期間は2019年7月1日から8月31日まで。作品・プロジェクト単位での業務委託契約となる。
東映アニメーション60年以上の歴史でも初という試みについて、代表取締役社長の高木勝裕氏は「いま社内でも多くの企画が出ていますが、それ以外にも、これまで弊社になかったような新しい視点の企画が生まれることを期待して、外の人の力を借りていこうと考えました」と説明する。
待ち望んでいるのは、これまでにない視点の企画。高木氏も、東映アニメで時代の変化を目の当たりにしてきた。「私が入社して間もないころに、鳥山明先生原作のアニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』がヒットしました。それ以前は、ヒロインは金髪で目がぱっちり、きれいな服を着ているのが“お決まり”でした。ところが本作の主人公・則巻アラレは紫色の髪にメガネ、カジュアルな帽子をかぶっている頭身が低い女の子。当時の常識から外れた見た目でしたが、いざ放送してみると作品がヒットし『これが当たるのか』と驚きを隠せませんでした」と振り返る。そして「美少女戦士セーラームーン」のヒットも体験。「“女の子たちの戦隊もの”も当時としては衝撃的でした。『時代の当たり前』を変える力を持つ作品。その目新しさが多くの人の目を引くのかもしれません」
「長く続くアニメの定義」について、「それは私も知りたいところですが。ひとつ言えることは時代にあった作品を作り続けること。同じタイトルの作品でも、その時々の価値観や時代背景を考慮して柔軟に対応していくことが大事だと思います」と分析。現在のアニメ業界については「本音を言えば、世に出ていく作品数に対してヒット数が少ないと感じています」と危惧しており、「制作にお金のかかるアニメ作品からどうやって利益を出していくか。それには作品の二次利用を成功させるかどうかが鍵になります。厳しく言うなら、制作側が満足のいく作品ができたとしても、世間の目に触れる機会がなければ自己満足で終わってしまう。確かに技術の進歩によって、個人でもアニメ制作ができる時代にはなりました。しかし、多くの人を巻き込むことで作品はできあがっていくものだと考えています。ですからアイデアをお持ちの方には、本プロジェクトをぜひ、活用してほしい。私たちには作品を成功させるための、長年培ってきたノウハウがあります。海外進出も視野に入れ、しっかりとバックアップしていきたいですね」と展望を語っている。(編集部・入倉功一)