新海誠監督『天気の子』は王道の物語とは違う 観客に「投げかける映画」
新海誠監督が2日、都内で行われた最新作『天気の子』の製作報告会見に出席し、本作について「東宝の夏映画として『王道の物語としてこんな風に終わると納得するよね』ということとは違うことをやっています」と語った。会見には声優を務めた醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、音楽を担当したRADWIMPSの野田洋次郎、桑原彰、武田祐介、川村元気プロデューサーも出席した。
本作は、『君の名は。』の新海監督が贈るエンターテインメント大作。天候の調和が狂っていく時代を舞台に、地方からの家出少年の帆高(醍醐)と、不思議な力を持つ少女・陽菜(森)が、運命に翻弄されながらも、自らの生き方を選択する物語が描かれる。
会見冒頭、約5分に渡り『天気の子』のスペシャル映像が流れると、新海監督は「みなさん聞いていただけましたよね」と醍醐と森の声に触れ、「2,000人というオーディションのなか『わたしを見て』と手をあげているような声だった。約1か月半のアフレコで、この作品のために二人がいてくれたんだと確信できました」と絶賛する。
そんな新海監督の言葉に、醍醐は「自分自身まだ出来上がったものを観ていないので評価はできませんが、新海監督に褒めていただけて幸せです」と破顔。森も「アフレコのとき新海監督に優しい言葉をかけていただきました。その優しさに包まれた声になっていたらいいなと思います」と笑顔を見せていた。
本作で新海監督はビデオコンテを作り、何役もあるキャラクターの声に、男女問わず監督自ら声を吹き込んだ。その意図について「お芝居の方向性を定めるためにやっています」と新海監督が説明すると、醍醐は「監督の声の演技があまりにもお上手なので、すごくプレッシャーでした」と苦笑い。森も「新海監督は本当にお上手で、演技も気持ちも、新海監督を超えていかなければと思い、何度もビデオコンテを観ました。言葉にしづらいニュアンスも伝わりました」と明かす。
一方、女子大生の夏美を演じた本田は「新海監督の作品を観たとき、アニメーションなのに空気まで感じるような映像だなと思った」と感想を述べる。司会者からすっぴん裸足でアフレコに臨んだことに触れられた本田は「誰に聞いたんですか!」と驚いた表情を見せていたが、「最初に新海監督とお会いしたとき『素の声が好き』と言われたので、自然体で演じようと思いそうしました」と照れ笑いを浮かべていた。
さらに、新海監督は「観ていただいて損のないエンターテインメント大作になっています」と自信をのぞかせつつも「でも東宝の夏映画として『王道の物語としてこんな風に終わると納得するよね』ということとは違うことをやっています。『あなたはどう思うんですか?』と投げかけている映画です」と語っていた。(磯部正和)
映画『天気の子』は7月19日より全国公開