『カメ止め』クリエイターが再集結!監督が3人もいる現場って?
昨年の大ヒット作『カメラを止めるな!』の監督・上田慎一郎、助監督・中泉裕矢、スチール・浅沼直也が共同で監督した新作『イソップの思うツボ』が13日、若手映像クリエイターの登竜門「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019」オープニング作品として上映された。舞台あいさつには、3監督に加え、出演者の石川瑠華、井桁弘恵、紅甘、斉藤陽一郎、佐伯日菜子も登壇した。
家族の仲はいいが友達はカメだけの内気な女子大生、大人気タレント家族の娘で恋愛体質の女子大生、その日暮らしの生活を送る“復讐代行屋父娘”の娘、という3人の少女たちが出会ったことで起こる予測不能のだまし合いを描いた本作。上田監督をはじめ、3人が共同で監督するという異色の作品となっている。
3人の出会いは、それぞれの監督作がノミネートされた2012年の「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」。その後、オムニバス映画『4/猫 -ねこぶんのよん-』を一緒にやることで距離を縮めた3人は、「また一緒に映画をやりたいね」と話し合い、本企画がスタート。紆余曲折を経て、形を見ることになった。
3人の監督たちは、基本的には3つの家族それぞれのシーンの演出を担当し、3つの家族が交わるシーンは、話し合いで誰が演出をするのか決めたという。しかし、撮影現場に3人の監督がいることに俳優陣も最初は戸惑いがあったそうで、井桁が「分からないことをどなたに聞けばいいのか分からなかった。まずどなたに相談したらいいのかを相談するという、二段階の相談をしたりしましたが、いろんなアイデアが出てくるし、楽しい、充実した現場でした」と語ると、石川も「3人の監督の熱量がバーッと合わさったシーンがあって。すごい経験をしたなと思っています」とコメント。紅甘が「監督が3人もいると、もはや誰もいない感じでした」と付け加えて会場を沸かせた。
さらに佐伯が「三人の監督は初めてだったので、もっともめるかな、俺が俺が、ということになるかなと思っていたんですけど、お三方は“マブダチ”なだけあって、すごくいいチームワークでした」と振り返ると、上田監督も「撮影期間が9日間だったので、もめるひまがなかったんですよ」と笑ってみせた。
今年で16回を迎える「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」は、いち早くデジタルシネマにフォーカスした国際コンペティション映画祭。白石和彌監督、中野量太監督ら数多くのクリエイターを輩出してきたことで知られる。今年は92の国と地域から合計861本の作品がエントリー。三池崇史監督、荻上直子監督らが審査員に名を連ね、最終日に最優秀作品賞などを決定する。(取材・文:壬生智裕)
「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019」は7月21日まで開催
映画『イソップの思うツボ』は8月16日より全国公開