『トイ・ストーリー4』が出来るまで 監督が語るウラ話
映画『トイ・ストーリー4』のジョシュ・クーリー監督が取材に応じ、本作が出来るまでの5年を語った。
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2014年に製作が発表されてから、約5年を経てついに公開を迎えた本作。日本と違って、アメリカのアニメーション作品では先に声優が声を収録してから、映像を作る“プレスコ”方式が主流で、ウッディ役のトム・ハンクスは3年半かけて声の収録を行ったという。
「声を先に録るのは、声優さんに演技をしてもらって、それにアニメーターが反応するやり方をしたいからなんだ」と語るクーリー監督。「(声優さんに先に演技をしてもらうと)セリフの途中でせきが入ったり、普通にしゃべっていると起こる自然な反応がある。そういう自然な反応が欲しいんだ」とその理由を説明する。
「トムには3年半の間に10回ぐらいレコーディングしてもらったよ。だいたい1回に1日とか半日で。それで彼は他の映画の撮影に入ったりして、その間にわたしたちは作業を進めるんだけど、だいたいセリフが途中で変わるんだ。だから最初の数年に録ったものは、ほとんど使われない。最終的なプロセスの段階でようやくセリフが固まり、新しくレコーディングしたものが残るんだ」。
さらに「トムにとっては3年半だけど、わたしは5年の間、ずっとかけて微調整している。それは、わたしたちが流動的な作り方をしていて、映画を作りながら台本が決まっていくから。だから、その過程でいろいろなことが変わるんだ。それで実際にアニメーションを作る段階になっても、このシーンが必要になったから、声優さんの声をレコーディングしなきゃってことになるんだ」とクーリー監督。
最初から、かっちりと台本を決めないのはなぜなのか? 「きっちり決めれば、もっと賢いやり方だと思うんだけどね」とクーリー監督は笑いながら、「基本的な台本が最初にあって、それを絵に描いて動かしたものをスクリーンで観てみると、思ったものと違うことがよくあるんだ。これでパーフェクトだ! と思っても、実際に作ってみると、やっぱり違うってことがあるから、調整しながら作っていくんだ」とそのワケを明かしていた。(取材・文:編集部・中山雄一朗)