『天気の子』最速レビュー:唯一無二の新海誠ワールドがここに!
大ヒット映画『君の名は。』から3年。ファンが待ちわびた新海誠監督の映画『天気の子』がついに公開日を迎えた。“新海誠ワールド”とも称される新海監督にしか描けない細部にまでこだわった美しさがスクリーンいっぱいに詰め込まれた、鳥肌必至の作品に仕上がっている。
予告編や場面写真などのビジュアルが公開される度に話題になっていた本作。東京にやってきた家出少年の主人公・帆高と祈ることで天気を晴れにすることができるヒロイン・陽菜の出会い、そして二人が自らの生き方を見つけ出す物語だ。
少しファンタジックに感じるストーリーであるにもかかわらず、スクリーンに映る東京の街並みは圧倒的な画力で、リアルでありながら実写とは一線を画す。細かに描かれたひとつひとつのカットが出る度に驚かされ、魅了され、圧倒される。他の誰にも真似することのできない新海監督ならではの表現は、映画館の大きなスクリーンでRADWIMPSによる音楽につつまれながら観ると格別な体験になることは間違いない。
主人公・帆高とヒロイン・陽菜の声に抜てきされた醍醐虎汰朗と森七菜もオーディションを勝ち抜いた当初は、知名度があるとは言い切れない若手俳優だったが、帆高と陽菜としてスクリーンの中で「生きていた」。東京にたどり着き必死に生きようともがく帆高の成長、不思議な力を持っている陽菜の明るさ。物語の軸となるキャラクターに命を吹き込んだ二人は唯一無二の存在感を示す。今後の二人の活躍に期待せずにはいられない。
クライマックスに向けて盛り上がり、これぞ“新海誠ワールド”とも言える描写とRADWIMPSの音楽で、観ている者を極上のカタルシスへと導く、まさに映画館の大スクリーンで観るべき作品だ。美味しそうな食事シーン、笑いの描写、観客を喜ばせる新海監督の粋な計らいなどが散りばめられ、鳥肌もののシーンの連続のうちにあっという間に映画は終わってしまう。前作の『君の名は。』では作品を何度も鑑賞するリピーターの存在も話題となっていたが、『天気の子』でも足しげく映画館に通うファンの姿が見られるに違いない。(編集部・海江田宗)