“カメ止め”の聖地でスーパー16フィルム撮影の青春映画を上映
インディーズ映画としては異例の大ヒットを記録した『カメラを止めるな!』をいち早く上映した“カメ止めの聖地”として名高い池袋シネマ・ロサで20日夜、「オフビート青春短編映画特集 やっぱ走らナイト」が初日を迎え、平井諒監督の『もう走りたくない』、高良嶺監督の『練馬ゾンビナイト』のスタッフ・キャスト陣が舞台あいさつを行った。
数々のインディーズ映画を世に送り出した映画館として新宿 K's cinema と並び称される池袋シネマ・ロサ。同館では、2018年3月より「Newcomers! 新人監督特集」と題し、若手映画監督の作品を中心に特集上映企画を行っている。その第4弾となった今回は、4週にわたって数々のインディーズ作品を上映する。「オフビート青春短編映画特集 やっぱ走らナイト」と題した初回は、疾走感あふれるキラキラした青春とは無縁の、脱力系青春映画2本を同時上映する。
平井監督の『もう走りたくない』は、日本大学芸術学部映画学科の卒業制作として制作。女の子にウケるかも、という根拠のない期待感を抱きながら、東京から日本海へと自転車移動をしていた二人の男子。しかし足もパンパンになり、「もう帰りたい」と思いながらも、それでもなぜか走り続けてしまうさまを描き出す。
デジタルが発達した近年では珍しく、本作はスーパー16のフィルムで撮影されている。撮影を担当した中原勇貴キャメラマンは「平井監督とは学生の時に一緒に撮る機会があって。この前の作品もフィルムで撮ったんです。監督の温かさのある人柄と、フィルムのふわっとしたいい光の感じが合うんじゃないかと思って。フィルムで撮影させていただきました」と説明。しかしフィルムでの撮影については、「長いロードムービーでフィルムを使うというのは、撮り直しがきかないんで大変。(キャスト陣が)ブルブル震えながらも一生懸命頑張ってくれたので、ステキな撮影になりました」と続けた。平井監督も「晴天の設定だったのに、10日の撮影中8日間、雨が降ってしまった。しかもフィルムもだいぶ感度が低いものを使ってしまったので、光量がなくて撮影は大変だった」としみじみ付け加えた。
一方、高良監督の『練馬ゾンビナイト』は、東京・練馬区の住宅街に突如ゾンビが現れるが、それに気付かずにのんきに過ごしていた4人の若者のサバイバルを描き出す。早稲田大学映画研究会のメンバーであった高良監督の自主映画である。平井監督同様、本作が初劇場公開作品となるが、「学生の自主映画なので、バイトでお金を貯めて完成させるしかなかった。編集の時も『もう走りたくない』という感じで心が折れて作るのをやめようと思ったけど、なんとか完成して良かった」と安堵の顔を見せていた。(取材・文:壬生智裕)
「オフビート青春短編映画特集 やっぱ走らナイト」は池袋シネマ・ロサにて1週間限定上映