筒井真理子、『淵に立つ』深田晃司監督とのタッグ作で再び世界へ!
女優の筒井真理子が27日、テアトル新宿で行われた映画『よこがお』公開記念舞台あいさつに出席し、このたび本作がスイスで開催される第72回ロカルノ国際映画祭コンペティション部門に出品されたことについて「歴史の深い映画祭なので非常に光栄」と誇らしげに語った。この日は、市川実日子、池松壮亮、吹越満、深田晃司監督も登壇した。
【シネマトゥデイ・ライブ】『よこがお』筒井真理子に生インタビュー!
第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門で審査員賞に輝いた『淵に立つ』の深田監督と筒井が再タッグを組んだ本作。女子中学生の失踪事件をきっかけに“無実の加害者”に仕立て上げられた訪問看護師の市子(筒井)の絶望と再生を描く。筒井は「今日は初日に立ち会ってくださりありがとうございます。そして映画と一緒に旅をしてくださってありがとうございます。まだ皆さん、感情の整理がついていなかったり、映画の余韻が残っていらっしゃる方も多いと思いますが、しばしトークをお楽しみください」とあいさつした。
さらに「『淵に立つ』の時もそうだったのですが、今回も深田監督がどこまで市子をいじめるんだろうかと思いました。こう見えてサディストだなといつも思うんです」とちゃめっ気たっぷりに切り出した筒井は、「最初に台本を読んで、監督の発想は面白いなと思うのですが、(ふと気付くと)『これ、自分がやるんだ!』と尻込みをしてしまうんです。それでもそそのかされてやりましたけどね」と笑ってみせる。一方の深田監督も「脚本を書く前から筒井さんならオッケー(してくれるだろう)という気持ちがあるので。筒井さんから自由なキャンバスをいただいたような感じなんです。ここなら何でも書けるということで、すごく幸せな脚本開発だったと思います」と相思相愛だった。
本作は、8月にスイスで開催予定のロカルノ映画祭への出品が決まっている。会場からの祝福の拍手を浴びた筒井は、「本当に歴史の深い映画祭で。商業の方に偏らずに自由な精神を72年間も持ち続けて、クオリティーの高い作品を選んでくださるということなので、本当に光栄に思っております」と晴れやかな表情。さらに深田監督も「うれしいですね」と続けると、「映画祭としても格式のある、いい映画祭なのですが、それ以上にずっと憧れていた映画祭で。自分が信頼している同世代の映画監督たち、濱口竜介監督とか真利子哲也監督、富田克也監督、三宅唱監督も行っていますね。自分も早く行かねばと思っていたので、今回やっと行けたということはうれしく思っています。でも物価が高いという話を聞いて少しビビっておりますが」と笑いながら付け加えた。
そして最後のメッセージを求められた深田監督は「今のマスコミの報道とかを見ていると、麻薬で逮捕されたりとか、闇営業の話とかいろいろと出てきていますが、そういった事件を目にするたびに、本作が今の時流にフィットする映画なんだなということを実感しています。まさに今観てほしい映画だと思います」と会場に呼びかけた。(取材・文:壬生智裕)
映画『よこがお』は公開中