佐藤健×白石和彌が描き出す家族の物語!『ひとよ』撮影現場レポート
佐藤健が主演を務める映画『ひとよ』(11月8日公開)の撮影現場の取材会が5月に行われ、白石和彌監督と高橋信一プロデューサーが作品に込める思いを語った。
本作は、劇作家・桑原裕子が主宰する劇団KAKUTAの舞台作品「ひとよ」を基にしたヒューマンドラマ。タクシー会社・稲丸タクシーを舞台に、ある家族が15年前の事件に向き合い、絆を取り戻そうとする姿を描く。稲村家の母親・こはるを田中裕子、長男・大樹を鈴木亮平、次男・雄二を佐藤、妹・園子を松岡茉優が演じる。
この日、茨城県に実際にあるタクシー会社で撮影されたのは、家族(佐藤、田中、鈴木、松岡)が揃う物語の終盤のシーン。こはるが起こした事件に対して思うところがある雄二が、家族にどこかぶっきらぼうでぎこちなく家族に接するという場面だ。撮影の合間、佐藤らキャスト同士は和やかに会話しており、白石監督の演出のもと、穏やかな雰囲気で撮影が進められていた。
本作の企画の始まりは3年前。『日本で一番悪い奴ら』『牝猫たち』といった白石監督の作品の根底に“疑似家族”がテーマとしてあると感じていた本作のプロデューサーの高橋氏が、監督が書いた脚本の初稿を読み、「(本当の家族を描く本作は)白石さんの作家性が出る一番の作品になるのかもなと思って、本作をぜひ前向きにやらせて欲しい」と願い出たことから始まった。
さらに、キャスティングは監督が希望していたキャストたちに決定。特に熱望していた田中の出演は、タイミングも含めて撮影まで2年待ったと明かす。なお、本作で佐藤は役柄で初めて無精ひげを生やしており、鈴木は2年ぶりの現代劇の撮影となる。
いざ撮影が始まり、白石監督は「とにかく楽(笑)」と笑顔を見せる。「楽って言うと失礼なんだけど(笑)。みんな上手だし、見せ方も知ってるし、映画のこともわかってる」とキャスト陣をベタ褒めした。
監督が気づかないところを「監督、どうですか?」と佐藤たちが演技について提案し、それぞれが撮影前に話し合いをすることもあるそう。監督は「そういった積み重ねがアンサンブルになっていくんでそれが良かった」と嬉しそうに述べる。
白石監督は、取り組んでいる作品すべてが自己最高傑作になるようにしていると前置きしたうえで、「ここまでやってきて毎シーン発見したり感動したりしながら撮れているというのはすごい大きいことなので、良い映画になるんじゃないかな」と手ごたえ十分。「僕にとっても家族の話は大きな挑戦でもあったので、これだけのオールスターのなかでやるのもいい緊張感でできてますし、僕自身も期待してる」と意気込みを語った。(編集部・梅山富美子)