香取慎吾『香港大夜総会』を湯布院で上映!製作陣が裏側明かす
香取慎吾と岸谷五朗が共演した1997年公開の映画『香港大夜総会 タッチ&マギー』の上映が24日に、大分県由布市湯布院公民館で開催中の第44回湯布院映画祭の特集上映「映画プロデューサー特集」内で実施され、渡邊孝好監督、森重晃プロデューサーが出席、その裏話を明かした。この日は『蜜のあわれ』の石井岳龍監督も来場した。
『百円の恋』の佐藤現プロデューサーと、森重晃プロデューサーという最前線で活躍する2人のプロデューサーが手がけた作品を通じて、プロデューサーが果たす役割についてスポットを当てた本特集。2日目となるこの日は、森重プロデューサーが手がけた『不夜城 SLEEPLESS TOWN』『香港大夜総会 タッチ&マギー』『蜜のあわれ』の3本を上映した。
イギリスから中国に返還直前の香港を舞台に、殺人現場を目撃してしまい、黒社会に追われる羽目になったカメラマン柴田(香取)とライター立神(岸谷)らが繰り広げるドタバタを、潜入先のナイトクラブの歌手コーラ(アニタ・ユン)との三角関係を交えて描き出した本作。一色伸幸が原作・脚本を担当した織田裕二主演の映画『卒業旅行 ニホンから来ました』に感銘を受けた香取が「ああいう映画に出たいんです。(織田が演じた主人公)一発太郎の二代目を演じたいんです」と熱望。その願いが叶い、主演した。
近年は白石和彌監督の映画『凪待ち』に主演し、やさぐれた男の役で新境地を見せた香取は、本作ではゴージャスな女装姿を披露するなど鮮烈な印象を見せている。実際に湯布院の観客からも「この映画の香取慎吾は本当に良かった」という絶賛の声もあがった。ちなみに本映画祭のパンフレットに掲載された渡邊監督のコメントによると、本作はビリー・ワイルダー監督の『お熱いのがお好き』がベースになっているという。同作ではジャック・レモンとトニー・カーティスがギャングの追っ手から逃れるために女装をしており、そこにならって本作でも香取が見事な女装姿を披露している。
また、本作はカーチェイス、爆破シーンなど激しいアクションシーンが多数登場するエンターテインメント作品となっている。石井監督は「アクション映画って大変だなと思います。今だったらお金がかかり過ぎると言われて企画が通らないですよね」と驚いた様子。渡邊監督も「今日は22年ぶりに映画を観ましたけど、今だったらありえない映画ですよね」とその意見に同意した。
森重プロデューサーも「アクションディレクターはブルース・ロウ。彼とは(森重プロデューサーが日本ロケを担当したジャッキー・チェン主演の)『デッドヒート』で一緒に組んだんですが、アクションディレクターが3人いた中で、彼が一番冷静なところがあったので、彼にお願いしたというわけです」と説明。『デッドヒート』や『南京の基督(キリスト)』など、海外の映画人と一緒に数々の映画を作りあげた森重プロデューサーならではの人選だったことがうかがい知れた。(取材・文:壬生智裕)