500人と寝るエルトン・ジョンをミュージカルで表現!『ロケットマン』監督インタビュー
映画『ロケットマン』のデクスター・フレッチャー監督が来日時にインタビューに応じ、エルトン・ジョンの楽曲「ベニーとジェッツ(やつらの演奏は最高)」を大胆な解釈でミュージカル化したシーンについて解説した。
「ベニーとジェッツ」はロックなナンバーで、詳細は不明ながら、架空のバンド「ベニーとジェッツ」についての曲だと理解されている。しかし、フレッチャー監督は、本作でセックスやドラッグやロックンロールなどワイルドなパーティーで知られたニューヨークの有名ナイトクラブ「Studio 54」を再現し、エルトン(タロン・エジャトン)が同所を訪れるシーンで使用。半裸のダンサーたちと乱飲乱舞を繰り広げるミュージカルシーンにしてみせた。
「僕たちはこの曲をたくさん聴いてきたけれど、彼ら(ベニーとジェッツ)が誰なのかはわからない。そこで『ベニー』はエルトンや彼の友達がドラッグを指して使う名前だというアイデアが気に入ったんだ。それはコカインかもしれないし、アンフェタミンかもしれない。『ドラッグをやろうぜ』と言う代わりに、『ベニーに会いに行こうぜ』と言うんだ。『ベニー』がセックス、ドラッグ、ワイルドな時間、ハイになる、といったものの暗号だというアイデアだ。だから『ベニーとジェッツ(Bennie and the Jets)』はそんなワイルドな時間よりもっと! って感じ。『the Jets』は『もっと!』ってことなんだ」
「このシーンのアイデアは、快楽主義にどっぷり浸り、自己嫌悪と孤独に落ちていくエルトンを僕たちが訪ねるというもの。僕はエルトンが快楽主義と破滅的な行動によってとてもダークな場所に行ったということを、セリフで説明することなく観客に示したかった。だからだからダンスとミュージカルのナンバーになった。生々しいものにはしなくていいと思ったんだ。彼が500人と寝るところを見たい人はいないだろって(笑)。だけどこのシーンを観れば、何が起きたか理解することができる。僕らはもっとクリエイティブで、詩的に、とてもダークなものを描こうと思った。だから僕は『ベニーとジェッツ』は人じゃなくて、『もの、ライフスタイル』だっていうのが気に入ったんだ」
ちなみに「ベニーとジェッツ」のシーンには、「ずっとずっと長いバージョンもあるんだ」とのこと。「DVDには入ると思うよ。すごく長くて、すごくダークなんだ」とエルトンの闇をさらに深く掘り下げたミュージカルシーンになっているという。カットしたシーンも「どれも全部好き」だというフレッチャー監督は、「カットした唯一の理由は、映画が長くなりすぎたから。最初のバージョンは2時間50分あったんだ。だから『ベニーとジェッツ』を短いバージョンにしたり、エルトンと最初の下宿先のガールフレンドのストーリーラインをカットすることになった」と説明していた。(編集部・市川遥)
映画『ロケットマン』は公開中