金獅子賞は『ジョーカー』!ベネチア映画祭
第76回ベネチア国際映画祭
現地時間7日、第76回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門の授賞式がイタリアで行われ、DCコミックスに登場する悪役・ジョーカーが主人公の映画『ジョーカー』(10月4日公開)が最高賞にあたる金獅子賞を獲得した。メガホンを取ったトッド・フィリップス監督、主演のホアキン・フェニックスが登壇した。
本作は、荒んだ大都会・ゴッサムシティで大道芸人として生きていたアーサー(ホアキン)が、狂気の道化師“ジョーカー”へと変貌していくさまを映し出す。世界的な人気を誇る悪のカリスマの今作での描き方についてトッド監督は8月31日(現地時間)に実施された公式会見で、人物造形をふくめて「リアルな描写」にとことんこだわったと説明していた。
今回の審査委員長を務めたアルゼンチンのルクレシア・マルテル監督が「トッド・フィリップスの『ジョーカー』」と発表すると、トッド監督とホアキンの2人が席を立ち、ステージの上へ。金獅子賞を手にしたトッド監督は、日本の塚本晋也監督をふくむコンペ部門の審査員と握手を交わした後、緊張したそぶりを見せながらマイクの前に立ち、ワーナー・ブラザースやDCなど関係者への感謝の言葉を口にした。
主演のホアキンについてトッド監督が「そしてもちろん、ホアキン・フェニックス抜きでこの映画はありえませんでした」と話すと、会場からは一際大きな拍手が巻き起こった。「ホアキンは僕が知っている中で最も凶暴で、最も勇敢で、最も心の広いライオンです。美しい心の持ち主です。“狂気の才能”とともに私のことを信頼してくれてありがとう」と続けたトッド監督は、ホアキンと熱い抱擁を交わした。
そのほかの作品では銀獅子賞(審査員大賞)をロマン・ポランスキー監督の『ジャキューズ(原題) / J’ACCUSE』が、銀獅子賞(最優秀監督賞)を『アバウト・エンドレス(英題) / ABOUT ENDLESSNESS』のロイ・アンダーソン監督が受賞した。(編集部・海江田宗)
第76回ベネチア国際映画祭コンペティション部門の受賞結果は以下の通り
■金獅子賞(最優秀作品賞)
『ジョーカー』(アメリカ)
トッド・フィリップス監督
■銀獅子賞(審査員大賞)
『ジャキューズ(原題) / J’ACCUSE』(フランス、イタリア)
ロマン・ポランスキー監督
■銀獅子賞(最優秀監督賞)
『アバウト・エンドレス(英題) / ABOUT ENDLESSNESS』(スウェーデン、 ドイツ、 ノルウェー)
ロイ・アンダーソン監督
■最優秀女優賞
アリアンヌ・アスカリッド
『グロリア・ムンディ(原題) / GLORIA MUNDI』(フランス、イタリア)
■最優秀男優賞
ルカ・マリネッリ
『マーティン・エーデン(原題) / MARTIN EDEN』(イタリア、フランス)
■最優秀脚本賞
ヨン・ファン
『ナンバーセブン・チェリー・レーン(英題) / NO. 7 CHERRY LANE』(香港、中国)
■審査員特別賞
『ラ・マフィア・ノン・エ・ピュー・クエッラ・ディ・ウナ・ボルタ(原題) / LA MAFIA NON E PIU QUELLA DI UNA VOLTA』(イタリア)
フランコ・マレスコ監督
■マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)
トビー・ウォレス
『ベビーティース(原題) / BABYTEETH』(オーストラリア)
【オリゾンティ部門】
■オリゾンティ賞(最優秀作品賞)
『アトランティス(原題) / ATLANTIS』(ウクライナ)
バレンティン・バジアノビッチ監督
【VR部門】
■最優秀VR作品賞
『ザ・キー(原題) / The Key』(アメリカ)
セリーヌ・トリカート監督