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オダギリジョー、監督として訪れたベネチア

第76回ベネチア国際映画祭

ベネチアを訪れていた柄本明とオダギリジョー監督
ベネチアを訪れていた柄本明とオダギリジョー監督

 初長編監督を務めた映画『ある船頭の話』(9月13日公開)が第76回ベネチア国際映画祭のベニス・デイズ部門に出品されたオダギリジョーが主演の柄本明とともに現地で取材に応じ、“オダギリジョー監督”として訪れたベネチア映画祭や作品について語った。

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 ベニス・デイズ部門のイタリア語での表記は「GIORNATE DEGLI AUTORI」。「映像作家の日々」という意味で現地の人たちが捉えている部門だ。同部門に選ばれた時の心境をオダギリは「すごく驚きました」と振り返った。

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 「作家として選んでいただいて嬉しかったです。キャスト・スタッフの方々に支えていただいて、こういうところに来させていただいて」とオダギリが語れば、柄本も「決まったと聞いて嬉しかったです。自分が出ている作品。大変に光栄なことです」とコメントした。

 映画を撮る上で、海外の映画祭のことを意識しなかったわけではないが、「相手がいることなので自分が思ったところで叶うものではありません」とオダギリ。撮影監督のクリストファー・ドイルや音楽のティグラン・ハマシアンといったスタッフにわかりやすく説明するためのツールとしてベネチア映画祭の名前を出したこともあったそうで、その分、驚きや嬉しさも大きかったようだ。

 インタビューが実施されたのは、自身が出演し、コンペティション部門に出品されていたロウ・イエ監督の映画『サタデー・フィクション』をオダギリが観た日の翌日。同作に対する感想は、オダギリが監督として作品を観ていたことが伝わるものだった。

 「すごく挑戦的で、とても野心的な表現が詰まった映画でした。僕も(『ある船頭の話』)で挑戦的なことをやっているつもりですが、ロウ・イエ監督はロウ・イエ監督で面白いことをやっていて。とても刺激になりました」

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 初長編監督作でいきなりベネチア映画祭のベニス・デイズ部門に選ばれた。「(選ばれたことは)すごく光栄なことではあるのですが、正直なことをいうと重荷に感じてしまう部分も少しあるんです」と明かし、「『次の作品も国際的な映画祭に出品できて当然』と期待されることがプレッシャーにもなるので、あまり考えすぎないようにしたい」という思いも吐露した。

ある船頭の話
(C) 2019「ある船頭の話」製作委員会

 インタビュー終盤にはオダギリが自ら声をかけ、美術の佐々木尚が取材の席に加わった。柄本が「大変でした。『本当にこんな場所で撮るの?』と思ってしまうような場所でした。舟をこぐのもうまくなっちゃって(笑)」と話した撮影について「大変なロケ地でした」と佐々木は同意する。「主人公が住んでいる家は『岩と一体になるように、へばりつくように暮らしている』というのを大事にしました。直線の素材を組み合わせれば作りやすいですが、そうはせずにどう見えるかを逆算して。見えないところまでこだわりました」と撮影を回顧した。

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 「その結果としてここにたどり着いたのは非常に嬉しいです。映画を愛している人たちが集まっている場所で観てもらえるのは幸せです」と話す佐々木を見つめる“オダギリジョー監督”の横顔も幸せそうだった。

 映画『ある船頭の話』は橋の建設が進む村で渡し舟の船頭として日々を送るトイチ(柄本)の姿を描いたオリジナルの物語。インタビュー後に実施されたベネチア映画祭での公式上映では、本編終了後に観客からスタンディングオベーションが送られた。(編集部・海江田宗)

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