ブラッド・ピット、俳優業は続ける 新作映画『アド・アストラ』で来日
ハリウッドスターのブラッド・ピットさんが12日、日本科学未来館で行われた、製作・主演を務める新作映画『アド・アストラ』の来日記者会見に出席、一部海外メディアで“俳優業縮小”とも報道されたピットさんだが「今まで通り、自分が心惹かれるプロジェクトがあれば、演技もするしプロデュース業もしていくよ」と見解を述べていた。
宇宙飛行士のロイ(ブラッド・ピット)が、太陽系の彼方で消息を絶った父(トミー・リー・ジョーンズ)と、彼が残したある謎の答えを探すために宇宙へと旅立つ本作。ピットさんは本作で自身初の宇宙飛行士役に挑んでおり「これまでこのジャンルに挑戦しなかったのは、ほかにも優れた作品がたくさんあったから。どうせやるなら、やったことがないような作品で、このジャンルに貢献したいと思っていた。(この映画では)それが実現できると思ったんだ」と自信をのぞかせる。
それだけに本作では、壮大な宇宙の映像だけではなく、ピットさんの非常に繊細な演技も大きな見どころ。撮影に入る前、ピットさんはメガホンをとったジェームズ・グレイ監督に「今回、僕の演技はとても静かなパフォーマンスになるから、もし退屈だったら遠慮なく言ってくれとお願いしたんだ」と秘話を述べる。
こうした作り手との遠慮のないやり取りができる間柄こそが、映画作りにおいてピットさんが求めているもの。「いまの僕は、年に1本程度しか映画に出演する時間がとれない。そのときに大切なのは、どんなストーリーを、誰と一緒にやるかだ」と語るピットさんは「ジェームズは僕に道筋や作品のトーンをしっかり示してくれるとても信用できる人。僕は、信用できる監督とならどんなクレイジーなことでもできる。しかし、逆に信用ができない監督のもとでは自分を守ってしまうから、リスキーなことはできないんだ」と持論を明かした。
会見の後半では、日本人宇宙飛行士である毛利衛さんと、山崎直子さんが出席。毛利さんは「宇宙飛行士としてのミッションを遂行するブラッド・ピットさんの表情がとても繊細で、本物の宇宙飛行士以上でした」とピットさんの演技を称賛し、山崎さんは「圧倒的な映像の美しさは、製作陣が細部まで魂を込めたからこそだと思います。宇宙に行くと地球のことが良くわかるものです。同じようにほかの人と関わることで、自分を知ることができます。己を再構築していく映画だと思います」と映画の魅力を熱く語っていた。(磯部正和)
映画『アド・アストラ』は9月20日より全国公開