コリン・ファース、カンバーバッチ、マーク・ストロング出演の戦争映画『1917』は“ワンショット撮影”!異次元の没入感に
『007 スカイフォール』のサム・メンデス監督が第1次世界大戦を描く新作映画『1917(原題)』は、上映時間1時間50分がワンショットに見えるように撮影されていることが明らかになった。異次元の没入感を生み出すべく、『ブレードランナー 2049』のオスカー撮影監督ロジャー・ディーキンスと9か月にわたって準備をし、撮影に挑んだとメンデス監督が Vanity Fair に語った。
『1917(原題)』が追うのは、2人の若きイギリス人兵士(『はじまりへの旅』のジョージ・マッケイと「ゲーム・オブ・スローンズ」のディーン=チャールズ・チャップマン)の姿。彼らの任務は、敵の罠にそのまま踏み込もうとしている部隊に「翌朝の攻撃は中止」だと伝令すること。失敗すれば1,600人が死ぬことになるが、タイムリミットは刻一刻と迫り……。『キングスマン』のコリン・ファース&マーク・ストロング、テレビドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」のベネディクト・カンバーバッチ&アンドリュー・スコット、『ロケットマン』のリチャード・マッデンら豪華俳優陣が脇を固める。
“時間が敵”になる映画ということで、メンデス監督は戦争映画というよりはスリラーの形式を取り、リアルタイムで進行するワンショットの作品にすることにしたと説明。そのため“二つの脚本”が必要になったといい、「一つはセリフなどが書かれた普通のもの。もう一つはカメラがどこへいつ動くのか、俳優がどこへ動くのかといったことが正確に記された地図のようなもの」と明かした。塹壕に飛び込んだり、戦場を駆け抜けたりする二人の兵士を常に追うことになるため、従来のカメラより軽くコンパクトなラージフォーマットシネマカメラ「Arri Alexa Mini LF」を採用したという。
アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)でもワンショットに見える驚異的な撮影が話題となったが、本作の舞台はほぼ全てが屋外となる。ストーリー上繰り返しはなしで、数々のロケーションを常に通過していくことになるため、撮影の難易度が格段に上がっていることは想像に難くないだろう。
併せて公開された撮影の舞台裏映像では、撮影監督のディーキンスが「外での撮影だから、光と天気に左右される。キャラクターが塹壕に走って入って360度見渡したりするから、照明を置くこともできない」とその難しさを語っている。シーンとシーンを完璧につなげる必要があるため、例えば前のシーンと比べて太陽が出過ぎていたら撮影することすらできず、完璧な気象条件になるまでリハーサルを重ねていたという。キャストも「全てのテイクが舞台劇のようだった。一度始めたらやめられない。何か失敗してしまっても、そのまま続行しないといけない」と緊迫感に満ちた撮影を振り返っている。
メンデス監督は「カメラは俳優の動き全てとシンクロしている。カメラはオペレーターに運ばれているときもあれば、ワイヤーにかけられて大地を進むことも。ワイヤーから外されたら、そのままオペレーターがカメラを抱えて走り、小さなジープに乗って進み、また降りて……」とシームレスにするための撮影方法を解説。ディーキンスは「実際に観るまでは、これがどんなに没入感のある映画になっているかわからないだろう」と絶対的な自信を見せている。米公開は今年12月25日。(編集部・市川遥)