J・J・エイブラムス監督『スター・ウォーズ』への批判に見解
映画『スター・ウォーズ』のエピソード9にあたる『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(12月20日公開)を手掛けたJ・J・エイブラムス監督が、同シリーズを手掛ける監督たちが避けては通れない、批判に対する見解を語った。
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シリーズ32年ぶりの続編となったエピソード7『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)で世界中の話題をさらったエイブラムス監督。続く『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)はライアン・ジョンソンが監督したが、エピソード9を監督するはずだったコリン・トレヴォロウの降板に伴い、シリーズ完結編を手掛ける大役を担うことになった。
終結に向けて「エピソード7を作っている時から、この先ストーリーがどう進むのか、ざっくりとした構想を持っていた。(脚本の)ローレンス・カスダンと、どこに向けて話を持っていくかはなんとなく決めていたからね」というエイブラムス監督だが、エピソード8にあたる『最後のジェダイ』はライアンが脚本を執筆。構想通りにエピソード9を作ることはできたのか。エイブラムス監督は「(ライアンの脚本には)驚くようなこともあったが、彼は僕らが絶対に起こらないと思っていたようなことはやらなかった。最終的に行きつきたいと思っているところへ到達するうえで、邪魔をするものではなかった」と明かす。
「僕は彼みたいな映画を作らない。同時に、彼は僕みたいな映画を作らない。違う監督だからね。でも、彼が何をやりたかったのかはわかるし、それは、僕らの映画に大きく貢献もしているよ」
両作品とも大ヒットを記録したが、新時代の『スター・ウォーズ』には、ファンから批判も寄せられている。幼少期からの『スター・ウォーズ』ファンを公言しているエイブラムス監督は「僕も自分のことを『スター・ウォーズ』ファンと呼ぶ。だから当然、ほかのファンと同じように、『スター・ウォーズ』映画について強い個人的な意見を持っている」と理解を示しながら、こう語る。「僕にも(批判は)理解できる。だが、こういうものに取り掛かる時は、みんなに気に入ってもらうのは不可能だとわかったうえで始めなければいけない。あまり変えなかったらそこが不満と言われるし、変えすぎたら同じくらいの人から嫌われる。何をやっても、誰かからは嫌われるんだ」
同時に「『スター・ウォーズ』に限らず、今の世の中には、やたらと何かを攻撃して非難する風潮があるよね」とも。「実際のところ、そこまで言わなくても良いのにと思うようなことまで言う。本人にとっても、実はそこまで重要ではないことに対してすら、人はネガティブな部分を強調しがちだ。それはわかっているし、ネガティブな意見にさらされることが代償なのだと言うならば、受け止めるよ。でも、僕らはただ人々に娯楽を与えたいだけなんだ。自分たちにできる最高の形で、物語を語りたい。それも、最高の意図をもってね」
観客を楽しませることに集中して取り組んだ『スカイウォーカーの夜明け』はどんな映画になるのか。エイブラムス監督は「全員に気に入ってもらうのは無理。それができるとも思っていないよ。実際、今作で僕らが下した決断のいくつかは、ある人にとってはおそらくショッキングで怒る人もいるだろうし、悲しくて、あるいは怒りのあまり、泣く人もいるだろう。逆に、笑う人もいるかも。それは、予測できないことなんだ」と語る。
「『フォースの覚醒』では、新しいキャラクターたちが互いに出会った。今作でははじめて、彼らが一緒にアドベンチャーに出かけるんだ。エピソード8にもそれはない。ライアンはそういう話にしたくなかったからね。今回、初めてやることができたのさ。まだ誰もレイとポーが一緒に冒険する姿は見ていないよね? 彼らが8の最後で会うんだから。仲間たちが一緒に苦難を乗り越えること。それは僕にとって『スター・ウォーズ』のフィーリングを定義するものでもある。だからこれは、今作の最も楽しい部分のひとつ。だから、前作で起きたことについて、僕はただ感謝しているよ」(編集部・入倉功一/Koichi Irikura)