オダギリジョー「時効警察」麻生久美子の相棒感語る 撮影の合間の会話もヒントに
俳優のオダギリジョーが、主演ドラマ12年ぶりの続編「時効警察はじめました」（10月11日スタート、テレビ朝日系・毎週金曜夜11：15～※一部地域を除く）で再びコンビを組む、ヒロイン役の麻生久美子との唯一無二の相性について語った。時効になった事件を“趣味”で捜査する警察官コンビの活躍を描く本シリーズで、麻生と3度目のコンビを組むオダギリだが、「麻生さんがいないと『時効警察』は成立しない」という言葉にはどんな思いがあるのか。
新作の舞台は、2006年から2007年にかけて放送された前2作「時効警察」「帰ってきた時効警察」から12年後。天才的な洞察力を持つ一方で、出世に興味がなくのんびりしている総武署・時効管理課の霧山修一朗（オダギリ）が、同じくトボけた味わいを持つ交通課の三日月しずか（麻生）を相棒に、時効になった事件を解決するさまをシュールな笑いを交えて描く。時効管理課の面々にふんするふせえり、江口のりこ、岩松了、刑事課の豊原功補、緋田康人、鑑識課の光石研ら前シリーズのメンバーが再集結し、新キャストとして吉岡里帆、磯村勇斗らが加わる。
そもそも続編の企画については、ゼネラルプロデューサーの横地郁英いわく、これまでにも度々浮上していたという。オダギリは、当たり役である本作への出演オファーに即答したかと思いきや「むしろ、やりますという答えを出すには時間がかかりました」と意外な回答。続けて、放送決定に至る経緯について「プロデューサーから連絡をいただいたんですけど、僕はまず『監督の三木（聡）さんはどう言っているんですか？』というふうにお答えしたんです。『時効警察』は三木さんが作ったもの。三木さんがやらない限りそれは別物になってしまうので。同時に、三木さんは僕の反応を気にされていたそうで、僕も三木さんもお互いに、どちらが抜けてもダメだと思っていたんでしょうね」と説明する。
放送決定が報じられると、まず話題になったのが霧山、そして三日月ら登場人物の12年後の変化だ。霧山はいつの間にかアメリカ・FBIに出向しており古巣の時効管理課にカムバック。三日月は、県警の刑事と結婚したのち離婚した設定となっている。この劇的な変化に「やっぱり『まさか！』と驚きましたよ。自分のことですから」と笑うオダギリ。「その他、又来（ふせ）がバツ3になって息子が鑑識課のエースになっていたり、サネイエ（江口）が結婚して妊娠していたり。僕自身も『時効警察』ファンの一人だと思っているので、各メンバーの変化に視聴者の方々と同じように驚きました」
前作「帰ってきた時効警察」の最終話では、霧山がお茶をすすりながら三日月に「（時効管理課や刑事課の面々が）親戚みたいだよね」としみじみ語るシーンがあるが、オダギリにとってもドラマのキャスト陣はファミリーのような感覚があると言い、とりわけ相棒役の三日月を「なくてはならない存在」と強調する。
「僕もあのシーンが好きなのですが、特に麻生さんに対しては兄妹、親子、幼なじみのような不思議な感覚になりますね。僕は麻生さんのことを尊敬しているんです。『この人には敵わないな』と思うし、12年を経てもその才覚は相変わらずだなと思いますね。僕がどんな芝居をしても乗っかってくれますし、僕が急にふったアドリブに対しても戸惑うことなく、想像以上の答えを返してくれるんです。面白いし、人間的にも興味深い方で、あんな方、ほかに観たことがないです」
また、撮影の合間に繰り広げる麻生との何気ない会話が重要で、シーンに取り入れられることもあるのだという。「そもそも、普段から麻生さんから三日月っぽいものがこぼれ落ちることが多々あって（笑）。例えば、麻生さんと話す中で面白い言葉があったとして『何その言い方、面白いね（笑）』となった場合、あるシーンのセリフと入れ替えたり。あとは、僕がシーズン2の8話で監督・脚本を担当したときには、麻生さんとの普段の会話をメモしていましたし、麻生さんを観察して『あの人、何やってんの!?』と驚かされたりしたようなことを脚本に書き込んだりしていました」
前シリーズの1エピソードをオダギリ自身が監督したことからも、シリーズへの思い入れの深さがうかがえるが、「自分で主演やっているのに『監督もやりますよ！』なんて普通言わないでしょ（笑）。それだけ、覚悟と責任を持ちながら、面白いものにしたいという気持ちが強かったんでしょうね。生みの親である三木さんの監督回は例外として、脚本が上がってきたときにチョコチョコと口を出してしまう。それは、いまだに僕が『時効』を大切に、愛情をもって少しでも面白くしたいという気持ちから来る、老婆心なんだと思っています」
9月29日にはシリーズ初となるスペシャルドラマ「時効警察・復活スペシャル」が放送され、12年の歳月を経たメンバーの変わらぬ姿、変わらぬ世界観が反響を読んだ。10月11日より、いよいよ新シリーズがスタート。新たなクリエイターとして『勝手にふるえてろ』の大九明子、『愛がなんだ』の今泉力哉らが監督に、映画『銀魂』シリーズなどの福田雄一監督らが脚本家として参加する。（編集部・石井百合子）