今夜『海よりもまだ深く』放送!愛すべき“ダメ男”阿部寛の演技に注目!
阿部寛が主演を務める映画『海よりもまだ深く』(2016)が今夜11日、よる9時よりフジテレビ系で地上波初放送される。阿部が是枝裕和監督とタッグを組んだ本作で、人間味たっぷりな“ダメ男”を演じている。
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今回、是枝監督の最新作『真実』の公開を記念して放送される『海よりもまだ深く』。大人になりきれない甲斐性なしの中年男(阿部)がひょんなことから母(樹木希林)の住む団地で別れた妻子と一晩を過ごすことになる。是枝監督が『歩いても 歩いても』(2008)、『奇跡』(2011)に続いて阿部と樹木とのタッグを組んだ作品で、阿部は4作目、樹木は5作目の是枝作品への出演となった。
主人公の名前は“良多”。これは『歩いても 歩いても』、ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」(2012)で阿部が演じるキャラクターの名前になっていたほか、『そして父になる』(2013)でも福山雅治ふんする父親の名前にも使用されており、是枝作品においては、“父になりきれない父”の名前にあてられることが多いようだ。
『海よりもまだ深く』に登場する良多(阿部)は、笑ってしまうほどのダメ人生を更新中。15年前に文学賞を受賞したきりの“自称作家”で、現在は探偵事務所に勤めているが、これは「小説のための取材」だと周囲にも自分にも言い訳をしている。元妻には愛想を尽かされており、息子の養育費も満足に払えないにもかかわらず、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。
そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送りながら、息子を穏やかな眼差しで見つめる母の淑子。物語では、ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と、元妻と息子が台風のため翌朝まで帰れなくなり、偶然訪れた“元家族”の時間が感動的に描かれていく。
叶わぬ夢ばかり追い続ける情けない良多だが、切なくもありながら、可笑しさもあり、どこかチャーミングでさえある。是枝監督は当時、良多役の阿部について「他の人にお願いする発想がまったくなかった」と語り、脚本も「阿部さんの声を思い浮かべて書いています」と口にしていたほどの信頼ぶりで、その演技を絶賛していた(プロダクションノートより)。
本作とともに、そんな阿部の真骨頂ともいえる演技が光るのは、先日8日にスタートしたばかりの新ドラマ「まだ結婚できない男」(カンテレ/フジテレビ系)も同様だ。偏屈で独善的で皮肉屋の建築家・桑野を演じており、ダメなところもありながらも人間味たっぷりな、愛すべき人物を体現する阿部の絶妙なバランスの演技を味わうことができる。
阿部と樹木のほか、キャストには元妻役の真木よう子、息子役の吉澤太陽のほか、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、橋爪功など演技派な面々が共演している。
最新作の『真実』に至るまで、さまざまな“家族”のカタチを描き続けてきた是枝監督。日仏合作として製作され、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークといった世界的大スターが集結した『真実』には、母と娘が隠された真実に揺れながら、すれ違いつつも和解を遂げていく姿が描かれている。(編集部・大内啓輔)
映画『海よりもまだ深く』はフジテレビ系にて10月11日よる9時~11時22分放送