『愛なき森で叫べ』日南響子&鎌滝えり、体当たりの熱演 園子温監督の新ミューズ
園子温監督のNetflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』で、約3,000人のオーディションからヒロインに抜擢された日南響子と鎌滝えりが、体当たりの熱演を披露している。実話に着想を得た本作で、2人は生来の詐欺師・村田(椎名桔平)の毒牙にかかる女性を演じている。
本作は、園監督が映画『冷たい熱帯魚』『恋の罪』に続いて実話にインスパイアされ、撮り上げたサスペンス。詐欺師・村田を主人公にした映画を撮ろうとするクルーが予期せぬ惨劇に巻き込まれていくさまを、クルーの一員となる女性たちの甘美で残酷なエピソードを交えながらハイテンションに活写する。
日南、鎌滝演じる女性は同じ高校に通い、演劇「ロミオとジュリエット」に関わっていた仲間で、大切なクラスメイトを亡くした過去を持つ設定。
日南が演じたのは村田を嫌悪しながらも抗えず、翻弄されていく水島妙子。R15+映画『桜姫』(2012)の姫から遊女に転落するヒロイン役で注目を浴びた日南が、思いを寄せていた親友“ロミオ”を亡くしたトラウマから逃れられない妙子の葛藤を繊細に体現。ブルーに染めた髪、奇抜なファッションも印象的だ。日南は、「私は決して芝居経験は多くはありません。その中でも過酷なものと伺っては居ましたが、それは想像を絶するモノでした」とハードな撮影を述懐。とりわけ、日々書き換えられる脚本に「不安は膨らむばかり」だったと言い、「毎朝書き換えられたものをメイク中に覚えていたのですが、ある日、不思議と笑みが溢れている自分がいる事に驚きました」と格闘したことを明かしている。
一方、ある男との出会いを経て劇的な変貌を遂げていく尾沢美津子役に抜擢された新星が、鎌滝。厳格な両親のもとで抑圧されていた内気な女性が“キレて”いく過程を演じてみせた。鎌滝は「監督とお話ししていた際、『お前は内臓に嘘が張り付いている』とご叱咤頂いた事があり、それは撮影中も、今でも、よく覚えていて自分に言い聞かせている言葉です」と園監督の言葉を噛みしめ、「自分の弱さや人に対して取り繕うような部分が一つでもあれば見抜かれてしまうのだと痛感しました」と撮影を振り返っている。長編作品での演技経験は少ないが、今後、ヒロインを務める映画『子どもたちをよろしく』(2020年公開)や日中合作ドラマ「東京男子図鑑」(今冬アジア地域先行配信・2020年日本放送・配信予定)などが控えている。
これまで吉高由里子、満島ひかり、二階堂ふみ、池田エライザら名だたる女優たちを開花させてきた園監督だが、ここに新たなミューズが誕生した。(編集部・石井百合子)
Netflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』は独占配信中