松田龍平、29歳の芥川龍之介に!役づくりはウィキペディアを活用
俳優の松田龍平が27日、NHK放送センターで行われたスペシャルドラマ「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」の試写会に出席。文豪・芥川龍之介を演じた本作での役づくりや、上海での現地ロケについて語った。この日は松田とともに、脚本を手掛けた渡辺あやも登壇した。
本作は、1921年に新聞の特派員として上海を訪れた芥川による「上海游記」などを原案に、その小説世界と当時の中国の現実を交錯させながら、日中の精神的交流を描く物語。
ほぼ全編を上海でロケ撮影した本作について、芥川役の松田は「貴重な経験をさせてもらいました」と嬉しそうな様子。セットの作り込みもすごかったそうで「100年前の上海にタイムスリップできたような気持ちでした。楽しんで演技できました」と振り返った。
また、現地スタッフの奮闘ぶりにも言及した松田。「中国のスタッフの方が180人くらいいて、パワーがすごかったです。みなさん協力してくださって、言葉が通じないなか、日本のスタッフと力を合わせてやってくださいました。いい作品を作りたいという思いで、言葉の壁を悠々と超えることができるんだと思いました」と撮影を総括した。
一方で「芥川のお気に入りの作品は?」と問われると、思わず困り顔を見せる一幕も。松田は「馴染みがなかった」と正直に告白しつつも「今回、芥川のことを知ろうとウィキペディアをたくさん見ました。彼の人生で、その短くも濃厚な上海の旅を演じることができたのは大きな収穫でした」と満足げな表情を見せた。
続けて「(原案の作品は)芥川が初めて海外に渡航した話で、僕が(初めて)海外に行ったときにはどうだったかと考えました。100年前の芥川の訪れた上海は自分には想像もできないので、あまり芥川に寄せずに、ただ一人の男として、人間として、どう考えるかを大切に演じました」と役づくりについて明かした。
劇中では、芥川が水辺で花の匂いを嗅ぐ場面があるそうで、松田は「このシーンから6年後に芥川が自殺をするということと、最後に着ていた服が上海で買ったものであったこと。その事実を胸にしまいながら演じていました。芥川は最後、生きていたいと思ったんじゃないかなと。ずっと生と死の間をフラフラしていたけど、最後に花の匂いを嗅ぐシーンを演じて、そう思いました」と感慨深そうに口にした。(取材・文:名鹿祥史)
スペシャルドラマ「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」はNHKワールド JAPANにて12月28日・29日あさ8時10分~ほか(各40分・前後編、英語による国際放送)、NHK BS8K、NHK BS4K、NHK総合テレビにて12月30日よる9時~放送(73分)