周防正行監督、成田凌を『カツベン!』主演に抜てきした理由とは…?
周防正行監督が2日、映画『カツベン!』の外国特派員協会記者会見に俳優の成田凌と出席。面接した多くの若手俳優のなかから、成田を主演俳優に抜てきした理由を明かした。
『それでもボクはやってない』などの周防監督が手掛けた本作は、映画が「活動写真」と呼ばれていた約100年前を舞台に、独自のしゃべりで観客を沸かせた「活動弁士」を目指す青年・染谷俊太郎(成田)と彼を取り巻く人々による青春活劇。
本作で映画初主演を務める成田は、「脚本、役者、ナレーター、いろんなことを凝縮して一人でやっているのは本当にすごい」と活動弁士の魅力に触れつつ、「日本にしかない(職業だ)からこそ、初めて見た気がせず、すごく体に馴染みがよかったのを覚えています」と撮影を振り返った。
稽古は、現役の活動弁士に教わりながら「7か月間、毎日3時間」も重ねたという。それゆえにほかの活動弁士の声まねシーンも秀逸で、成田は「天性の物まねの才能は多少あるかもしれないですね」とにんまりすると、「初めて本番で、お客さん(役)の前でやったときは気持ちよかったです」と充実した表情をのぞかせた。
そんな成田を主演に抜てきした理由を問われると、周防監督は「若い役者さんを知らなかったから、いろんな役者に会いたいということで毎日面接をして、そのなかで成田さんを選びました」と経緯を説明。さらに、「決定的な理由はタイプだった。芝居がいいとか、声がいいとか、そういうところではなくて、こういう若者好きだな……という決め方をしてしまいました」と正直な思いを打ち明け、会場を笑いに包んだ。
しかし、その選択は正解で、周防監督は「彼が本来持っているであろう、お茶目でキュートな部分を撮影中に感じて、ここを強く出せればキャラクターとして成立する」と確信したことを回顧。加えて、「大きかったのはカツベン」だそうで、「しゃべるテクニックをプロのレベルまで磨き上げてくれた。努力する才能は見事。素晴らしい演技をしてくれた」と賛辞の言葉を贈った。
この日は、成田が周防監督をして「プロ級」と言わしめた活動弁士の口上を披露する場面もあり、集まった大勢の記者から盛大な拍手を浴びていた。(取材:錦怜那)
映画『カツベン!』は12月13日より全国公開