藤原竜也、カイジは「代弁者」
劇場版シリーズ第3弾にして最終回となる『カイジ ファイナルゲーム』(1月10日公開)で、9年ぶりに主人公・カイジを演じた俳優の藤原竜也。「こんなにも長く『カイジ』に携われるなんて本当に幸せなこと。感謝しかありません」と思いをかみしめる藤原が、過去シリーズを振り返るとともに、本作への熱い思いを語った。
原作漫画「カイジ」シリーズの作者・福本伸行が、自らオリジナル脚本を書き下ろした本作。2020年東京オリンピック終了後、不況に陥った日本を舞台に、自堕落な生活を送っていたカイジがギャンブル魂を再び取り戻し、国中を巻き込んだ大勝負に打って出る。監督は、前2作でメガホンを取った佐藤東弥。福士蒼汰、関水渚、新田真剣佑、吉田鋼太郎ら新キャストに加え、天海祐希、生瀬勝久、松尾スズキなどおなじみのメンバーが集結する。
9年ぶりにカイジ役のオファーを受けた藤原は、「福本先生の完全オリジナル脚本ということで、どんな内容になるのかものすごく興味がありました。実際に読んでみると、日本中を巻き込む壮大な物語になっていたので、正直、想定外でした」と驚いた様子。
「原作にはない4つのゲームが主戦場となっているのですが、これがまた、誰も思い付かない仕組みになっていて……。『カイジ』ファンの期待を絶対に裏切らない映画になると、この段階で確信しましたね」
なかでも、吉田演じる派遣会社の悪徳社長・黒崎と対決する過酷なゲーム「最後の審判~人間秤~」のシーンは圧巻だ。「鋼太郎さんのシェイクスピア的な演技が『カイジ』の世界にピタリとハマって、彼の圧力、熱量、セリフ回しが全てをかっさらっていくんです。僕としては、鋼太郎さんに食らいついていけば面白い対決シーンになると思ったので、助かりましたね」と満足そうに語る藤原。
久々のカイジ役とあって、藤原自身も初参加の福士がたじろぐほどリハーサルの段階からハイテンションで臨んだ。
「福本先生は、独特の世界観で“非日常”を描いているので、普通の熱量では成立しない部分があるんです。カイジも異常なエネルギーを持ったキャラクターなので、まずはテンションをMAXにして臨み、徐々に『このあたりかな?』と調節しながら、カイジを作り上げていきました」
セリフの熱さも『カイジ』シリーズの真骨頂。「今回は特に、どのシーンもスカッとしますよね。『お気に入りのセリフは?』と聞かれても、今すぐには思い浮かばないのですが、他者をまくし立て、背中を押し、そして前進させる熱いセリフがとても多いので、気持ちがいいし共感できる部分もたくさんある」と興奮気味に語った。
思えば、定職にもつかず、負け犬人生まっしぐらのクズ人間だったカイジ。そんな彼が、本作では、日本を巻き込む大勝負で社会に一石を投じる側面も見せる。これについて藤原は、「確かにカイジは何をやってもうまくいかない、なかなか先に進めないというクズなところはありましたが、同時に、世の中に対する不満や問題を、僕たちに代わって強烈な言葉で主張してくれる『代弁者』のようなところがあった。カイジのそういうところが僕は大好きですし、今回はさらに成長した姿を見せてくれる」と強調する。
藤原の長いキャリアのなかで、『カイジ』とはいったいどんな存在だったのか。藤原は「今回、9年ぶりの新作となるわけですが、この強烈なキャラクターをこんなに長く演じさせていただけたことは、本当に幸せなこと」としみじみ。
「藤原で行こうとGOサインを出していただいた福本先生、それからシリーズを通して演出をしていただいた佐藤監督、そのほか関係者の皆さんには、今となっては感謝しかありません」とカイジ愛あふれる言葉で締めくくった。(取材・文:坂田正樹)