「ジョゼと虎と魚たち」劇場アニメ化 実写映画から約17年ぶり
今年6月に死去した芥川賞作家・田辺聖子さんの短編小説「ジョゼと虎と魚たち」(角川文庫刊)に基づく劇場アニメーション映画が2020年に公開されることが3日、明らかになった。原作は2003年に妻夫木聡と池脇千鶴の共演により実写映画化されており、約17年ぶりに映像化されることとなる。車いすの生活を送り、ほぼ外出したことがないヒロインの恋を描く物語で、テレビアニメ「ノラガミ」シリーズの監督や細田守監督のアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』の助監督を務めたタムラコータローが、劇場アニメで初の監督に挑む。
原作は1985年に刊行され、2003年に犬童一心監督が、後に朝ドラ「カーネーション」(2011)などを手掛けた脚本家の渡辺あやと組み実写映画化。音楽と主題歌をロックバンド、くるりが担当し、まだブレイク前だった上野樹里の出演も話題に。
アニメ版では、趣味の絵と本、想像の中で生きるジョゼと、自分の夢を追いかける大学生・恒夫との出会い、純愛の顛末を、痛みと喜びを交えて描き出す。タムラ監督のもと、脚本に映画『ストロボ・エッジ』(2015)の桑村さや香、キャラクター原案に漫画・アニメ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」の絵本奈央、キャラクターデザイン・総作画監督にテレビアニメ「クジラの子らは砂上に歌う」(2017)の飯塚晴子らが集結。アニメーション制作を、「僕のヒーローアカデミア」シリーズなどのボンズが担当する。
タムラ監督は「ようやく発表できました。田辺聖子さんの短編小説『ジョゼと虎と魚たち』が執筆されてかれこれ干支が三周しようとしてるわけですが、この作品にはどんなに時が経っても多くの人の心を捉えて離さない不思議な魅力があります。どこにでもありそうで、どこにもなかった物語。新しい時代を迎えた今だからこそ映像化を通して再度スポットライトが当てられれば幸いです」とあらためて原作の魅力を強調。
また田辺さんの事務所は、アニメ映画化に以下のようにコメントを寄せている。「主人公のジョゼは、足の悪い、ちょっと世の中をナナメに見ている女の子。そのジョゼが、人を愛することによって、世界への扉を一つずつ開いていきます。扉を開ける前のすくむような気持ち、そして扉を開けたときの驚きと、あふれるような喜び。この作品をご覧になる皆様が、ジョゼの”冒険”を一緒に楽しんでくださいますように。原作者・田辺聖子もきっとそう望んでいると思います」
なお、本作はキャラクター原案を担当した絵本奈央によるコミカライズ化が決定しており、「ダ・ヴィンチ」で2020年2月号(1月6日発売)より連載開始となる。(編集部・石井百合子)
アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』は2020年公開