ヒロアカ作者・堀越耕平「負けたくない」アニメから刺激
漫画「僕のヒーローアカデミア」の作者・堀越耕平が、原作と同様に絶大な人気を集めるアニメ版について語った。アニメを観るたびに感じる、「負けたくない」という刺激の一方で、全面的に信頼を寄せるアニメ制作陣によってさらに良いものが生み出されることへの期待が常にあるという。
【動画】『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』予告編
「僕のヒーローアカデミア」は週刊少年ジャンプで連載中の大ヒット漫画。2016年にテレビアニメ化され、現在第4期が放送されている。劇場版最新作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』(12月20日公開)では、堀越は原作のみならず、総監修・キャラクター原案を担った。
テレビシリーズではスケジュールの都合もあり、なかなか制作に加わることは難しいが、劇場版では前作に引き続き参加が実現した。堀越は「映画ではここぞとばかりに頑張ろうと思いながらやっていました」と喜びをあらわにする。
雄英高校ヒーロー科1年A組の全員集結と、主人公のデク(緑谷出久)とその幼なじみでもある爆豪勝己の活躍に期待がかかる本作。企画会議を重ねる中で、劇場版1作目で描いたオールマイトとデクの共闘以上のアツい展開を目指し、本作の物語が固まっていった。
クライマックスは、原作漫画において最終決戦で描きたかったという2つの別のアイデアを合わせたもの。現状で考え得る限り最強の展開と言って過言ではない。
「これをやっちゃったら終わりですからね(笑)。後先考えずに、第1弾を超えなきゃいけないというところばかり見ちゃって、じゃあもうこれしかないって決めちゃいました。今は、本当に(原作漫画の)終わりをどうしようかなって感じです……」
そんな心配をにじませつつ、堀越がこだわった点はもう1つ。
「最初にいただいた脚本だと1年A組のみんなが活躍はしてくれるんですけど、ほどほどだったんです。ちゃんとヒーローとして島の人たちの命を守って全力で頑張らなきゃいけないから、1回倒れちゃったところでもう1回起き上がってほしいとか、ここでコイツは膝はつかないでしょうとか、そういうことを1人1人やっていって、全員活躍以上の“全員 PLUS ULTRA”しなきゃダメですと伝えさせていただきました」
アニメ「ヒロアカ」は、原作の臨場感を再現すると共にオリジナル要素も加えて表現された、アクションシーンのクオリティーに定評がある。今回の劇場版でも、各キャラクターが持つ個性を生かした戦闘シーンが豊富に登場し、その1つ1つが見どころとなっている。
堀越はアニメから受ける影響は大きいといい、優れたシーンを目にすると「チクショーって思います(笑)」と吐露する。
「アニメ2期でエンデヴァーという炎を扱うキャラクターが戦うシーンがあったんです。原作では描いておらず、オリジナルで入れてくれたのですが、そこのアクションがすごくかっこよくて。うわー、やられたと思いました。最近になって原作でもエンデヴァーが戦う話の流れがきたのですが、あの時のエンデヴァーの戦闘シーンを超えてやると思って描きました」
アニメならではの演出を称えつつ、漫画だからこそできる表現へのこだわりは強い。
「例えばアクションシーンが1つあったとして、『ここは俺の方がよかったかな』『こっちはアニメの方が良かった』みたいに、演出やレイアウトなど色々要素はありますが、そういう見方をしたりしなかったりしています」
「だいたい負けちゃうんですけど」と冗談めかすが、スタッフも原作へのリスペクトを持って制作に取り組んでおり、互いに「より良いもの」を目指すことで相乗効果が生まれていると明かす。担当編集者の言葉を借りれば、「アニメスタッフと一緒に作品を作れている感覚」があるのだとか。
本作では、那歩島という離島でデクたち1年A組の面々が校外ヒーロー活動に挑戦する。平和な島での活動が続くと思われた矢先、敵(ヴィラン)たちが前触れもなく現れ、デクたちは強大な敵に立ち向かっていくことになる。(編集部・小山美咲)