『パラサイト』半地下の家は町ごとセット!特別映像が明かす裏側
第92回アカデミー賞で作品賞を含む6部門にノミネートされたポン・ジュノ監督の新作『パラサイト 半地下の家族』(全国公開中)から、スタッフらが制作の裏側を明かす特別映像が公開された。作品を象徴する存在である、半地下の家と高台の豪邸がセットであったことも明かされている。
『パラサイト』は、韓国の半地下住宅に暮らすキム一家の生活が、高台に住む裕福なパク社長一家と出会ったことで変化していくさまを描いた作品。ポン・ジュノ監督が自らネタバレ厳禁を呼びかける予測不能な物語が、名優ソン・ガンホをはじめとする実力派俳優たちのアンサンブルで展開していく。
公開された映像では、映画の印象的な舞台となる半地下の家と豪邸が、共にセットであったことが明らかに。なかでも、キム一家が暮らす半地下の家は周囲の町ごとセットで作られており、ガンホも「実際にある町のようでした」と舌を巻く。
キム一家とパク一家の格差を視覚的に象徴するセット。美術を手掛けたイ・ハジュンは「最初に私たちが思いついたコンセプトは、高い場所にあるパク家の邸宅と、低い場所に広がる半地下アパートのギテクの家族の家のコントラストでした」と明かす。まるでロケ撮影のようなリアリティーは、徹底したリサーチの賜物。さらにハジュンは、街の細部まで精密なコンテを描き、「ハエや蚊も実際に飛ばしました。地下特有のカビ臭さを出そうと意識した」と映像には映らない「匂い」まで作り上げたと告白。徹底したこだわりが俳優陣の演技をも高め、リアリティーに寄与したことをうかがわせる。ハジュンは本作で、アカデミー美術賞にノミネートされた。
拡大する格差問題を巧みに取り入れた、ネタバレ厳禁な物語で話題の本作。2つの家族の出会いから、ノンストップで加速していくストーリー展開もさることながら、さまざまなこだわりが隠されたディテールにも注目の一本だ。(編集部・入倉功一)