VFXを侮辱した!アカデミー賞『キャッツ』自虐ネタ、視覚効果協会が批判
第92回アカデミー賞
現地時間9日に行われた第92回アカデミー賞授賞式で、映画『キャッツ』のキャストが猫姿で視覚効果賞のプレゼンターを務め、映画の視覚効果(VFX)についての強烈な自虐ネタを披露。この演出について、視覚効果協会(The Visual Effects Society)は公式サイトで声明を発表し「アカデミーがVFXをジョークの的にしたことに心から失望した」と批判した。
『キャッツ』出演者のジェームズ・コーデンとレベル・ウィルソンは、視覚効果賞のプレゼンターとして劇中さながらの猫姿で登場。同作の視覚効果は酷評されており、劇場公開後に一部シーンのVFXが改良されるという異例の事態も発生している。二人は「視覚効果について我々以上に(その重要性を)理解している人はいないんです」と強烈な自虐ネタを披露し、同部門を受賞した『1917 命をかけた伝令』の名前を読み上げた。
授賞式の演出について、視覚効果協会は現地時間10日、公式サイトを通して声明を発表。同協会は「我々は視覚効果を芸術として認識、発展、尊重している」と強調し、「(授賞式の)プロデューサーは、視覚効果賞発表の場をジョークの聞かせ所として選択し、映画『キャッツ』の低調なパフォーマンスは視覚効果に責任があると示唆した」と指摘した。
さらに協会は「授賞式は、才能あるアーティストの活躍を称える場である。アカデミーがVFXをジョークの的にしたことに心から失望した。映画監督のビジョンを達成させるべく、素晴らしくて視覚的に美しいVFXを製作する技術者たちの品を落とした」と痛烈に批判。「アカデミーが視覚効果だけでなく、撮影や編集といった技術を正しく称えることを願っている」と投げかけている。
また、取締役会長マイク・チェインバーズ氏は「意図的でなかったとしても、今回のパフォーマンスは侮辱的行為である」と The Hollywood Reporter にコメント。視覚効果をネタにした映画『キャッツ』は、最低映画を決める第40回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)において、最低映画賞を含む最多9ノミネートを果たしている。(編集部・倉本拓弥)