『Fate』シリーズ、人気拡大し続けるワケは?
2004年に発売されたPCノベルゲームを原作とする『Fate』シリーズが大ヒットしています。
ついに最終章!『劇場版「Fate / stay night [Heaven's Feel] III.spring song」』ギャラリー
スマートフォン向けに展開している「Fate/Grand Order」は大ヒットゲームとなり、原作ゲーム「Fate/stay night」の[Heaven's Feel]ルートを描く劇場アニメ三部作、劇場版『Fate / stay night [Heaven's Feel]』では第一章と第二章がともに15億円を超える興行収入を記録。8月15日には最終章の公開が予定され、こちらも前2作品を超えるヒットが期待されています。
原作のゲーム「Fate/stay night」は10万本を超えるセールスを記録したPCノベルゲームですが、それが映画興行収入ランキングを賑わせる存在にまでなったのはなぜでしょうか。それには大きく4つの理由があると考えられます。
長年ハマれる!拡大し続ける深遠な世界観
『Fate』シリーズは、「Fate/stay night」から始まり、多くの派生シリーズを生み出しています。これらは、多くの謎と深遠な設定が存在し、派生作品が増えれば増えるほどにその世界は広さと深さを増しており、その魅力にハマったものは次から次へと知りたくなり、15年以上経っても多くのファンが支持し続け、考察を展開させているのです。
無限大の可能性!英霊召喚と聖杯戦争
『Fate』シリーズの物語の核となるのは、聖杯戦争と呼ばれる魔術儀式で、これはどんな願いも叶える万能の願望機“聖杯”を巡り、7人の魔術師たちが使い魔となる英霊を召喚し覇を競わせるものです。7人のバトルロイヤルというシンプルな設定と英霊召喚システムは、幾多の物語を紡ぐことができ、物語生成のプラットフォームのように機能しています。
さらに、各キャラクター設定も歴史への深い洞察を含んでおり、それが作品にリアリティーと奥深さを与え、歴史好きのファンも多く獲得しています。逆に『Fate』シリーズから歴史に興味を持つ人も少なくありません。歴史的事実を上手くアレンジして物語に生かすことで、前述した広くて深い世界が、実際の世界と地続きのような印象を与えるのです。
多くの作家の魅力を引き出す派生作品
『Fate』シリーズは、ゲームブランド・TYPE-MOONを立ち上げた作家、奈須きのこが作り上げたものですが、現在は奈須以外の作家にも紡がれています。「魔法少女まどか☆マギカ」の脚本家として有名な虚淵玄による「Fate/Zero」など、それぞれの作家性が強く反映された派生作品を生み出しています。
同一の世界観で異なる魅力を楽しめるのも、このシリーズの面白いところ。これも聖杯戦争と英霊召喚システムというプラットフォームがあらゆる物語を紡ぐのに適しているからです。
原作の魅力を徹底的に引き出す!妥協知らずのアニメ作品
ゲームからアニメ、そしてアニメからまたゲームへと『Fate』シリーズはその人気を拡大してきました。数多くアニメ作品が制作されていますが、中でもufotableの手掛けた「Fate/Zero」とTVアニメ「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」、『劇場版「Fate / stay night [Heaven's Feel]」』の3本は高く評価されています。原作理解の深い人物がメインスタッフで参加し、原作の魅力を忠実に再現、TVアニメでも劇場映画並のクオリティーで作る、妥協知らずの制作姿勢で『Fate』の世界を多くの人に知らしめました。
梶浦由記の荘厳な音楽、迫力あるアクション作画、陰影の深い撮影と美術の美しさなどで、多くのアニメファンを魅了しています。どの作品も非常に高い熱量で制作されており、そんな質の高いアニメ作品も『Fate』シリーズの人気を支えています。
一度ハマると抜け出せない魅力を持った深遠な世界観と、聖杯戦争&英霊召喚システムによって、『Fate』シリーズは人気を拡大させ続けています。さらに、それをアニメ化する熱量高いスタッフとファンが経済圏を形成して本シリーズを支えています。今後も『Fate』人気はさらに拡大していくでしょう。(杉本穂高)