7ORDER安井謙太郎、感謝と「期待に応えたい」が原動力
昨年5月に「7ORDER project」が発足し、新たなスタートを切った安井謙太郎。そんな安井が出演する映画『死神遣いの事件帖 －傀儡夜曲－』が6月12日に公開を迎えた。これまでもテレビドラマや映画など俳優活動は行ってきたが、本作出演にはどんな思いがあるのだろうか。話を聞いていると、安井の物事に対する姿勢が垣間見えてきた。
本作は、同一世界観の物語を映画と舞台で表現する連動プロジェクト「東映ムビ×ステ」第2弾。江戸時代を舞台に、探偵業を営む死神遣いの久坂幻士郎と、幻士郎と契約し事件を解決する死神・十蘭（じゅうらん）の活躍を痛快に描いた物語だ。
バディ・鈴木拡樹への信頼
安井は十蘭を非常に小気味よく演じているが「死神ということで、最初はもう少し怖いものを想像していたのですが、十蘭の人形が出てくるし、喋るセリフも可愛らしい感じがしたので、いわゆる“死神”というイメージとは違うのかなという認識は現場でも持っていました」と台本を読んだときの感想を述べる。
安井の言葉通り、劇中の十蘭は人の寿命の一部と引き換えに人間と契約をするという怖い面も持ちつつ、どこか愛らしさもある。それは幻士郎役の鈴木拡樹とのテンポの良い会話のやり取りにも起因している。
「十蘭は受け身の存在だったので、現場ではなるべく拡樹くんのお芝居に、素直に反応しようという意識が強かったです。感情をしっかり見せてくださる方だったので、とてもやりやすかったです。柴崎（貴行）監督からは『連続ドラマの最終話みたいな感じで』というアドバイスをいただきました。映像にはないですが、これまで二人でいろいろな事件を解決してきた、その集大成の事件が映画の話……というイメージでやりました」と演技プランを明かす。
「やりやすかった」という鈴木との芝居。そこには鈴木の包み込むような雰囲気の柔らかさがあったという。「そこまで口数の多い方ではないのですが、すごく落ち着いていて穏やかなので、同じ楽屋にいても居心地がいいんです」と絶対の信頼感を見せる。
「安井に任せてよかった」と思われたい
安井にとって本作は「7ORDER project」始動以来、初となる個人での仕事でもあった。「ほかのメンバーは舞台などをやっていて、みんなの成長を感じていました。ファンの方々にしっかりした姿を見せたいという思いはもちろん強いですが、どこかでメンバーたちにも恥ずかしいところは見せられないという気持ちがあったと思います」と気合十分で臨んだという。
個人としてのスタートを切った安井だが、具体的な目標や野望については「わがままなタイプなので貪欲にいろいろなことをやりたいんです。俳優業はもちろんですが、話すことも好きですし、歌も……そもそも『7ORDER project』というのがジャンルレスに活動するものなので」と目を輝かせる。しかしどんなジャンルでも、安井にとって共通しているのが、オファーをしてもらえることへの「感謝」と「期待に応えたい」という思い。
「そこまでストイックじゃないんですけれどね」と苦笑いを浮かべるが「こういう仕事は自分がやりたいと思ってできるわけではないですよね。今回も起用していただいたことで新しい出会いがあった。任せていただいた以上、期待されている以上のもので返したい。『安井に任せてよかった』と思われたいんです」と熱い胸の内を吐露する。
7ORDERメンバーとの出会いは特別
また、自身を表現できる立場にあることへの感謝も強い。「いまこうしたご時世で、自粛していると、自分の話を聞いてもらえることってすごく幸せなことなんだなと実感しています。受け取ってもらえることって本当にありがたいですよね」としみじみ語る。
本作では鈴木や、崎山つばさをはじめとしたキャスト、柴崎監督らスタッフなど、新しい出会いもあった。安井にとって「出会い」とは「人間って、必要なときに必要な人と出会うと思うんです。その意味で、これまでの出会いはすべて大事」と定義づけするが「それでも、（『7ORDER project』を共にする）メンバーとの出会いは大きかったです」と特別な存在であることを強調。
「例えばディズニーランドとか行けば、誰と行っても基本的に楽しいじゃないですか。でもメンバーだと普通の会議室にいても楽しいと思える。そういう人たちとの出会いってなかなか経験できないですよね」と照れくさそうに語っていた。（取材・文・撮影：磯部正和）