スタローン、暴力は恐ろしい…『ランボー』最終章こだわりのバイオレンス描写
ハリウッドを代表するアクションスター、シルヴェスター・スタローンが、自身の代表作である人気シリーズの完結編『ランボー ラスト・ブラッド』におけるバイオレンス描写について語った。
1982年公開の1作目から、戦場の記憶に苛まれる元グリーン・ベレーのベトナム帰還兵、ランボーの戦いを描いてきた同シリーズ。4作目となった前作『ランボー 最後の戦場』(2008)のラストで故郷アリゾナへと帰ったランボーは、亡き父の牧場で平穏な日々を過ごしていたが、娘のように大切にしてきた親友の孫娘がメキシコの人身売買カルテルに誘拐されたことで、再び戦場へと舞い戻る。
故郷に戻っても戦場の記憶が消えたわけではないランボーは、牧場の地下に、ベトナムを思わせるトンネルを設営。数々の凶悪なトラップを仕掛け、カルテルの構成員たちを血祭りに上げていく。「彼のトラップにかかると、敵は心にも傷を負うんだ。仲間がトラップにかかるのを見たとたん、恐怖にとらわれてしまう」
知恵を絞ったトラップの数々は、観ているだけで痛みが伝わってくるほど。スタローンは、常にランボーになりきって凶悪トラップの数々を考えているという。「今は、アクションというアクションが全て映像化されてしまっている時代だ。だから俺は、ランボーだったらどうやって人を狩るのか、常に考えるようにしている。彼はまるで動物のように人間を狩る。そこが、他のアクションと違うところだ。彼は尊敬されようとしたりヒーローになろうなんて思っていない。ただ、徹底的に相手をつぶすだけだ。逃げ出したくなるようなリアルな男の野蛮さがあって、それが戦いにも現れる」
前作『最後の戦場』では、地雷や銃弾で人間の手足が吹き飛ぶ、戦場にいるかのような激しいバイオレンス描写も話題になった。今回のバイオレンス描写も、本国アメリカではR指定となったが、そこには「暴力とは恐ろしいものだ」という、スタローンの思いが込められている。
「アメリカのPG13(13歳未満は保護者の同意が必要)映画のバイオレンス描写も魅力的でクールだと思うが、銃で撃たれても体が破壊されたりはしない。せいぜい『ああ、痛い!』とか言うくらいのものだ。でも、実際に銃で撃たれたら、頭が吹っ飛んだりするものなんだ。前作でも今回も、俺は本当の戦争を見せようと思って臨んだ。この映画は、暴力の恐ろしさを描いている。バイオレンスをかっこよく見せる、マーベルやスーパーヒーロー映画とは違うタイプの作品だからね」
本国から遅れ、ようやく迎える日本公開。大スターとして幾度も来日しているスタローンは「日本の文化は素晴らしい。家族の絆が強く、年配の方を敬い、子供を大切に育てている。それがすごくランボーと通じているんだ。本作の彼は、常に家族のことを考えているからね」と日本文化に敬意を示しながら、日本のファンに向けて「家族を失うこと、それはとてもつらいことだ。日本の方々には、これからも家族を大切にし、自国の文化を大切にしてほしい。それこそが、日本の強さだと思っている」とエールを送った。(編集部・入倉功一)
映画『ランボー ラスト・ブラッド』は6月26日より全国公開