ヴィゴ・モーテンセン、サンセバスチャン国際映画祭で生涯功労賞に
俳優ヴィゴ・モーテンセンが、スペイン・バスク地方で開催される第68回サンセバスチャン国際映画祭(現地時間9月18日~26日)で生涯功労賞にあたるドノスティア賞を受賞することがこのほど、同映画祭から発表された。
モーテンセンは今年、初監督作『フォーリング(原題) / Falling』を発表し、第73回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクションにも選ばれたばかり。現地開催が見送られたカンヌに代わって、サンセバスチャンで盛大に節目の年を祝うことになりそうだ。
同賞は映画界での長年の功績を讃えて贈られるもの。モーテンセンの代表作といえば『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのアラゴルン役で知られるが、大作よりもインディペンデントの一癖も二癖もある作品で本領を発揮。俳優石橋凌と共演した『ヤクザVSマフィア』(1993)にも出演し、その男前な決断で日本の映画ファンの心をも掴んだ。
アラゴルン役でブレイクしても、攻める姿勢は変わらず。人身売買をテーマにした『イースタン・プロミス』(2007)でアカデミー賞主演男優賞にノミネート。製作・音楽・主演を務めた『約束の地』(2014)はカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。そして黒人ジャズピアニストとイタリア系移民の運転手の友情を描いたロードムービー『グリーンブック』(2018)はゴールデングローブ賞で男優賞にノミネートされた。
そして満を持しての製作・監督・脚本・主演を手掛けた『フォーリング(原題)』は、ワールドプレミア上映されたサンダンス映画祭でも話題になるなど、今回の受賞も納得の目覚ましい活躍を見せている。
授賞セレモニーは映画祭会期中に行われる予定で、『フォーリング(原題)』もヨーロッパ初上映される。新型コロナウイルスの影響で映画祭の開催も懸念されているが、スペイン政府は感染予防対策として行っていた外国人の入国規制を6月21日から段階的に解除しており、映画祭側も開催に向けて準備を進めている。
サンセバスチャンのバスク語表記であるドノスティアの名が付けられた同賞は1986年に創設され、米俳優グレゴリー・ペックを皮切りに、アル・パチーノやアンソニー・ホプキンスらが受賞。2018年は同映画祭の常連監督である是枝裕和監督がアジア人として初の栄誉を得ている。(取材・文:中山治美)
第68回サンセバスチャン国際映画祭は9月18日~26日開催