一家惨殺事件描く問題作『アングスト/不安』衝撃映像
1980年にオーストリアで実際に起きた一家惨殺事件を映画化したスリラー映画『アングスト/不安』(7月3日公開)から、主人公の殺人鬼ヴェルナー・クニーセクを捉えたショッキングな本編映像が公開された。
1983年公開当時、ショッキングな内容により本国オーストリアでは1週間で上映打ち切りに。他ヨーロッパでも上映禁止やソフト発売禁止となり、日本でもビデオスルーとなっていた本作が、本国公開から約37年を経て初めて劇場公開される。
公開された映像は、主人公K.(アーウィン・レダー)が事故を起こすシーン。落ち着きのない様子で車を運転するK.が、勢いあまって前方の車に衝突。周囲の人々が集まって来るとパニック状態に陥り、運転席で狂ったように暴れ出す……というもの。
本作を鑑賞した元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、主人公の犯行について「犯罪心理やプロファイリングでは到底追いつかない、考えもつかない、異常に常識を逸脱した残忍な行動には驚き以外何もない」とコメント。心理学者(学術博士)の桐生正幸氏は、主人公の殺害動機について「過去の犯罪は、お金や人間関係のトラブルが主な動機だった。しかし、昨今の動機が理解できない殺人事件は、概ね、犯人が抱く個人内葛藤を解決するために犯行に及んでいる。犯人にしてみれば、その時の被害者は、たまたまそこに居合わせただけであり、ただ、自身の得体のしれない不安だけを、その被害者に投影しているのである。この映画の主人公は、我々から理解してもらえない動機を、“家族殺し”を実行することで、自ら告白し表現した」と考察している。(編集部・石井百合子)
映画『アングスト/不安』は、7月3日よりシネマート新宿ほか全国順次公開