ノーラン映画、イスなし撮影を否定 禁止なのは「携帯と喫煙」
女優のアン・ハサウェイが、映画『インターステラー』(2014)、『ダークナイト ライジング』(2012)でタッグを組んだクリストファー・ノーラン監督が、撮影現場で椅子に座ることを禁止しているとVarietyの対談記事で語った件を、ノーラン監督のスポークスマンが否定したと Indie Wire が報じた。
椅子ありました!?ノーラン最新作『TENET テネット』最新予告編【動画】
アンは、『レ・ミゼラブル』(2012)で共演したヒュー・ジャックマンとのリモート対談において、撮影現場で携帯電話の使用を禁止している監督の1人としてノーラン監督の名前を挙げると「彼とは2回仕事をしたけど、椅子も許さないの。そこに椅子があったら人は座る。座るということは仕事をしないということだっていうのが理由」と証言。「彼は野心的で技術面や感情面においても素晴らしいすばらしい映画を作ってる。常に予算とスケジュールも守ってきた。思うに、椅子の件は何かしら、そうしたことの役にたっているんじゃないかな」と語っていた。
このエピソードは、ノーラン監督のストイックさを表すものとしてSNSでも話題を呼んだが、『ダークナイト ライジング』で警官役のエキストラを務めたという『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(2017)の脚本家アーロン・スチュワート=アーンは、Twitterで「待機場所に椅子もテーブルもたくさんあったよ」と撮影を回願。また、現地メディアEW.comのジェフ・ジェンセン氏も「『インターステラー』も『ダークナイト ライジング』もセットを取材したけど、どちらの現場にも椅子はあったし、何なら僕も座った」とつづるなど、疑問の声も投稿されていた。
そんななか、 Indie Wire では、ノーラン監督のスポークスマンを務めるケリー・ブッシュ・ノヴァク氏の声明を掲載。同氏は「事実として、(ノーラン作品の)現場から排除されているのは、携帯電話(必ずしも成功しているとはいえません)と喫煙(すばらしい成功をおさめてます!)だけです」と明かし「アンの言っている椅子とは、ビデオモニター周りのディレクターチェアのことで、必要がないのにヒエラルキーに基づいて置かれていたものです。クリスは自分の椅子を使わない選択をしていますが、セットから椅子を排除したことはありません。キャストもクルーも、必要なときに必要なだけ、何回だって座ることができます」と説明している。
実際に撮影現場で椅子の使用を禁止するのは、スタッフの健康にもかかわるため、難しいだろう。ただ、撮影で携帯の使用を禁止している監督はほかにもおり、Varietyの対談でヒューは、ダーレン・アロノフスキー監督とドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の名前を挙げている。また、クエンティン・タランティーノ監督は、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)の撮影現場で携帯電話を持っているところを見つかった人間は誰であろうと“クビにした”と出演者のティモシー・オリファントがラジオ番組で証言している。(編集部・入倉功一)