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長澤まさみ、社会の闇に墜ちるシングルマザー役に「後ろ髪引かれる」

新境地を開いた長澤まさみ
新境地を開いた長澤まさみ

 女優の長澤まさみが4日、千代田区の神楽座で行われた映画『MOTHER マザー』公開記念リモート舞台あいさつに出席し、悩み苦しんだ難役への思いを語った。この日は息子役の新星・奥平大兼、内縁の夫役の阿部サダヲ大森立嗣監督、そして花束ゲストとして子役の郡司翔浅田芭路も来場した。

【画像】輝く美しさ!舞台あいさつでの長澤まさみ

 本作は2014年に実際に起きた事件をベースに、社会の底辺で生きる母と息子を取り巻く過酷な現実を描いたドラマ。社会の闇へ落ちていくシングルマザーの秋子を長澤が、母のゆがんだ愛に翻弄されながらも必死に応えようとする息子・周平を、演技未経験ながら初めてのオーディションで抜てきされた奥平が演じている。

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 前日の3日に初日を迎えた本作。メイン館となるTOHOシネマズでは現在も舞台あいさつの実施を見合わせているため、今回は映画館応援施策として試写室の監督・キャストと、本作初日と同日にオープンしたTOHOシネマズ池袋の観客をつないだ「リモート舞台あいさつ」を実施。さらにその模様は全国5大都市の劇場でライブ中継された。

 ステージに立った長澤は「普段は一か所でしか舞台あいさつをやらないので、逆に新鮮。たくさんの方とつながっている気がして。とてもうれしいです。こういう舞台あいさつもレアになっていくと思いますので、今日は楽しんでください」とあいさつ。奥平も「特殊な環境ということで緊張していますが、自分にとっても待ちに待った公開でテンション上がり気味です」と笑顔を見せた。

 自堕落な暮らしで子どもたちを翻弄する母親という役柄に、「共感しようと思っても、共感できませんでした。最後までわからないこともあるんだなと知った役だったように思います」と振り返る長澤。「昨日も映画初日を迎えて、自分自身も嫌な思いでもんもんと過ごしました。映画が旅立っていくうれしさや、解放されるうれしさみたいなものがあって。でも、本当にそれを手放していいのかなと考えてしまったり。ここまで役柄や作品に対して後ろ髪を引かれる感覚になるというのは、初めての経験。それだけこの役と向き合えたのかなと思ったら、無駄な時間ではなかったなと思えるので、本当にたくさんの方に観ていただきたいなと今は思っていますね」としみじみ語った。

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MOTHER マザー
『MOTHER マザー』公開記念リモート舞台あいさつに登壇した監督とキャスト陣

 そんな長澤にとって、子役たちとの触れ合いには救われる部分があったという。「奥平くんもそうだけど、子役の子たちは本当に素直で純真無垢で、監督の言う通り誠実にお芝居をするので、その姿を見て、わたしもこれでいいのかなという不安な思いに引っ張られることなく、突っ走ることができた。実際に演じた役が母親ということで、子供たちから教わることがあるんだなと実感しながら、演じましたね」

 そして秋子の内縁の夫役を務めた阿部は、長澤の熱演を間近で見て「長澤さんがこういう役をやる印象もなかったし、お母さんというイメージもなかったのでビックリしましたね。一緒にやることができて良かった」と語る。さらに「女優さんでここまで汚くすることか、嫌なイメージを作るのって難しいと思うんですけど、完成した作品を観て、僕の役もそうですけど、お母さんに対してちょっとイラッとしたし、嫌だな、不快だなという感じがしたので、それはすごくいいことだと思います」と長澤の演技を絶賛していた。(取材・文:壬生智裕)

映画『MOTHER マザー』は公開中

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