ペガサスが野良化してゴミを漁る!ディズニー&ピクサー新作『2分の1の魔法』のファンタジーは一味違う
ディズニー&ピクサー新作映画『2分の1の魔法』は、テクノロジーの進歩によって魔法が消えかけたファンタジーの世界を舞台にした一風変わった作品だ。美しかったはずのペガサス/ユニコーンも薄汚れて街でゴミを漁る迷惑な存在になってしまったり、ケンタウロスも自慢の脚で駆けるのをやめて車通勤を選んでしまったり。父と息子、そして兄弟の絆を描いた感動作でありながら、笑いもそこかしこにちりばめられている。
1歳の頃に父親を亡くした『モンスターズ・ユニバーシティ』のダン・スキャンロン監督の実体験に基づいた本作。父が母に託していた魔法の杖を16歳の誕生日に贈られるも、魔法に失敗して“半分(下半身)”だけの姿で父を復活させてしまったイアンが、兄のバーリーと共に父を完全体にするべく冒険に繰り出すさまを描いている。
スキャンロン監督は“技術の進歩によって魔法が消えかけたファンタジーの世界”という設定が生まれた経緯について、「父親のキャラクターを1日生き返らせるために僕らには魔法が必要だったんだけど、それだとハイファンタジー(異世界もの)になってしまう。だけどこれがパーソナルな物語という点は保ちたかったから、現代のファンタジーの世界を舞台にすることにした」と説明。「それがすぐさま笑いを生んだんだ。ファンタジーの世界の偉大なキャラクターたちが、僕たちの日常みたいな世界で暮らしているんだからね(笑)。このアイデアに興奮したんだよ」と愉快そうに明かしている。
プロダクションデザイナーによると、テストを重ねて「30%をファンタジー、70%をなじみあるもの」にするとうまく現代のファンタジーの世界になると判明したため、映画を通してこのルールが守られているとのこと。キャラクターが入るとそのバランスが崩れるため(ファンタジー度が上がる)、ショットごとに微調整するという凝りようだ。一見、ただの現代の世界のようでもファンタジーモチーフが至るところに採用されていたり、隠れトロールが配置されていたりと、ちゃんとファンタジーになっている。
スキャンロン監督はそんな不思議な世界に込めた思いについて、「僕たちは、テクノロジーは悪だと言っているわけではない。テクノロジーは素晴らしいよ。世界にたくさんの素晴らしいものをもたらしてくれた。そうではなくて、物事をやる時により簡単な方法を選ぶことで、君のポテンシャルを失くさないでほしい、ということなんだ。君が出来ることはもっとある。時にはリスクを取って、より難しい方法でチャレンジしてみて。それが、僕たちが伝えたいことだった」と明かしていた。(編集部・市川遥)
映画『2分の1の魔法』は8月21日より全国公開