クリストファー・ノーラン『TENET テネット』IMAXで増す圧倒的な没入感
ついに日本公開を迎えたクリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』。先日、公開に先駆けて、池袋・グランドシネマサンシャインにおけるフルサイズでのIMAX完成披露試写が実施され、ノーラン監督が意図した映像をそのままのサイズで体験することができた。
『TENET テネット』は、「TENET」という言葉と「時間の逆行」を鍵に、人類を救うミッションに挑むエージェントを描くタイムサスペンス。ノーラン監督が7年を費やしたという、仕掛けに満ちたスパイストーリーや本格的なアクションに加え、世界7か国をめぐるロケーションも見どころとなる。
今回ノーラン監督は、IMAXフィルムカメラを携えて各国をめぐり、VFXに極力頼らず、あらゆる”本物”の出来事を、70mmフィルムで撮影した。その範囲は、IMAXの見せ所ともいえる壮大な景色から、ノーラン祭りのIMAX 上映等で披露された、プロローグ映像におけるオペラハウスでのテロ事件といったアクションシーンにまで及ぶ。
通常のスクリーン版で鑑賞してもかなりの迫力が味わえたが、やはりIMAXで観てこそ、真の没入感が得られるのは間違いない。さらに、グランドシネマサンシャインと109シネマズ大阪エキスポシティのIMAXレーザー/GTテクノロジーでは、IMAXカメラの撮影パートが最大1:1.43の画角まで拡張。通常スクリーンに比べ、上下合わせて約40%も映像が広がるという。
時に空撮で捉えられた壮大な景色は、同館が誇る、高さ18.9m・幅25.8mという日本最大級のスクリーンも手伝って、足がすくむほどの迫力。主人公の”名もなき男”の視点から、『007』映画よろしく、世界をめぐるミッションを文字通り体感できる。そして、スクリーンの枠を取り払ったかのような、視界全てに広がるアクションの臨場感も格別だ。
ノーラン監督は、本作の公開に先駆けた記者会見で、初めて映画館で『007』を観た体験を振り返り、劇場で映画を観る体験を「スクリーンを飛び越えて、世界のどこへでも行けて、素晴らしい光景を目にすることなのだと知った。完全に現実逃避できた」と語っていた。また「キャリアの大半を、あの時の感覚を呼び覚ますこと、そして観客に提供することに費やしてきた」とも。IMAXでの鑑賞は、そんなノーラン監督の意図を理解するためにも、必須の体験と言えそうだ。