芦田愛菜の魅力とは?『星の子』大森立嗣が明かす女優としての凄み
10月9日に公開される映画『星の子』で主演を担った芦田愛菜について、監督を務めた大森立嗣が女優としての魅力について語った。あわせて、涙を目にいっぱいためた芦田の横顔などを切り取った場面カットも公開された。
芦田にとって6年ぶりの実写映画主演作となる『星の子』は「こちらあみ子」「あひる」などで知られる今村夏子の小説を原作にした人間ドラマ。怪しげな宗教を深く信仰する両親のもとで育った中学3年生のちひろ(芦田)が、思春期を迎えると同時に自分が身を置いてきた世界に疑問を抱く姿を描く。
坂元裕二脚本によるドラマ「Mother」(2010)や映画『ゴースト もういちど抱きしめたい』(2010)などに出演し、名子役として活躍してきた芦田。演じている際には「自分がその役になるというより、その役が自分に近づいてくる感覚になる」と語る通り、本作でも、演じるちひろのことを一日中考えていたという。「撮影が進むほど、私の部分がどんどん少なくなって、ちひろの部分が多くなりました」「家族から『ちひろの話し方が抜けてないよ』と言われることもあり、いつもちひろが心のどこかにいた気がします」と撮影時を振り返っている。
大森監督は、映画化するにあたって「少女の心の繊細な揺らぎを撮ること」に挑んだと語る。「セリフのないときのちひろをどう捉えるかです。喋っていないちひろにこそ、この映画の核があると思います。繊細なものが隠れていて、それは映画だから描けることの一つです」。ちひろを体現した芦田については「セリフのない一人でいるシーンが印象に残っています。芦田さんは的確な読解力と、引き出しの多さ、表現力、コミュニケーション能力、どれをとっても素晴らしかったです」という。
さらに「それに恐ろしい程のバランス感覚を持っています。15歳にして、自分のことを肯定しながら、解放していくことができるのはすごい。自分のどうしようもない部分を自分で認めないと演技のスタート位置に立てないのですが、芦田さんはそれができているので、もう子役という認識はなかったです」と称賛の言葉を送っている。
各界の著名人からも好意的なコメントが寄せられている本作。ドラマ「マルモのおきて」(2011)で芦田と共演した鈴木福は「ちーちゃんの信じる強さ、まーちゃん(蒔田彩珠)の自分を信じる強さ、2人の揺らぐ姿に人の深い部分を感じました。何かを信じること、素直に信じることの難しさを考えさせられる作品です。芦田愛菜さんの小さな頃から変わらぬ素晴らしさに感慨深いものがありました」と感想を寄せている。(編集部・大内啓輔)