ももクロ・百田夏菜子、目指すは「おジャ魔女どれみ」のようなグループ
百田夏菜子(ももいろクローバーZ)が、テレビアニメ「おジャ魔女どれみ」シリーズの20周年記念作品『魔女見習いをさがして』(11月13日公開)のヒロインのひとりとして声優を務めた。「おジャ魔女どれみ」の大ファンだという百田が、今のグループ活動にも生きている「おジャ魔女どれみ」の力や、映画を通して伝えたい想いを語った。
どれみちゃんたちのようなグループでありたい
映画は、テレビアニメシリーズのオリジナルスタッフである佐藤順一監督、脚本の栗山緑、総作画監督の馬越嘉彦らが再集結した完全新作。「おジャ魔女どれみ」を観て育った3人のヒロインが、魔法玉によって巡り会い旅に出かけるという、大人のための新たな魔法の物語だ。百田は、ダメな彼氏に悩むフリーター・川谷レイカの声を務めている。
「小さい頃からどれみちゃんたちを見てきて、『私もどれみちゃんたちと友達になりたい』とずっと思っていたので……。こういう形で物語の世界に飛び込むことができて、夢が実現するなんて、本当にうれしかったです」
友情や仲間との絆、成長を描いた「おジャ魔女どれみ」に、幼いころから何度も助けてもらった瞬間があったという百田。ももいろクローバーZとして活動する今でも、悩みに直面するたびに「どれみちゃんたちだったらどうするだろう?」と重ねて考えることがあるそう。
「グループとして活動していると、メンバーやスタッフさんとの繋がりや助け合いにすごく救われて、『仲間っていいな』と実感する瞬間がたくさんあるんです。どれみちゃんたちを見ていると、どんなことがあっても皆と一緒なら解決できる、乗り越えていけると思えるので、私たちもそんなグループでありたいなと思います」
夢が叶ったからこそ「今度は誰かに届けたい」
「おジャ魔女どれみ」シリーズは、子ども向けアニメには珍しく、キャラクターそれぞれが抱く自分ではどうしようもない問題や、家庭環境の悩みが描かれているところが特徴的な作品だった。それは新作映画にも共通しており、百田が演じたレイカもダメな彼氏に悩むだけでなく、両親の離婚という事実を抱えている。
「レイカは、そこにいるだけで場が明るくなるような子です。でも心の奥底には抱え込んでしまっているものもあります。物語でも重要なシーンでそれが登場するので、明るさの裏に隠されているものを出せたらいいなと思って演じました」
そんなレイカが、どれみの名ゼリフを言うシーンがある。百田は「まさかどれみちゃんのあのセリフが言えるなんて、すごくうれしくて。でも同時に、『このセリフを私が言ってもいいのかな?』っていう葛藤もありました。それくらい、小さい頃からマネして言っていた言葉だったので、まさかこういった形で公式に言える日がくるなんて! 『それがどういうことかわかってる?』って自分で自分に問いかけてしまうくらい、夢のような出来事でした。台本に書かれている文字を見ただけで、パワーが宿っている気もしましたし、そのシーンを収録するときは、独特な緊張感が自分のなかにありました」とファンならではの興奮と不安を口にする。
また、尾道弁での芝居に挑んだ百田に、嬉しいサプライズがあった。方言指導として用意された音源を吹き込んでくれたのが、瀬川おんぷ役の声優であり、広島県出身の宍戸留美だったのだ。
「まさか宍戸さんが声をいれてくださるなんて思ってもいなかったので、『宍戸さんが私だけのために……!?』って大興奮でした。ご本人にお会いさせていただいたときにその話ができたのですが、宍戸さんも改めて方言を確認するためにわざわざお友達に連絡を取ってくださったみたいで。私はなんて贅沢な経験をさせていただけたんだろうと。だからこそ、さらに頑張らなきゃって、めちゃめちゃ気合いが入りました!」
「信じられないくらい幸せでした!」と興奮気味に語る百田は、さらにこう続けた。「映画を通して夢が叶っただけでなく、たくさんの人に支えていただくことができました。私が感じた喜びを、今度は映画を観てくださったたくさんの方にお届けしたいと思います」。どれみたちから受け取った思いや魔法を、今度は自分が誰かに伝える。そうやって魔法は、時を超え受け継がれていくのだ。
まだまだ「私は魔女見習い」
ももいろクローバーZのメンバーとしてひたむきに活動し、たくさんの人を笑顔にしている百田だが、「自身にとっての魔法は何か」という問いには意外にも悩む様子を見せた。「今はまだ見つからないのですが、映画が完成して、レイカとしてではなく私自身として映画と向き合ったときにきっと見つけられる気がします。私もまだ『魔女見習い』なので、魔法は探し中です(笑)」と笑顔で語っていたのが印象的だ。
「『おジャ魔女どれみ』を見て育った私たちと同世代の方って、今ちょうどいろんな変化や悩みがあって、戸惑いを抱えている方も多いと思います。『魔女見習いをさがして』が、そういう方々に少しでも勇気を与えられるような作品になれたらいいな。私たちも、ヒロインの3人も、そしてご覧くださる皆さんも、きっと同じ気持ちだと思うんです。皆、『おジャ魔女どれみ』が好き。なので、当時を思い出して一緒に楽しめる時間になったらいいですよね。映画はソラ・ミレ・レイカの3人の物語ですが、きっと4人目はご覧いただく皆さんご自身だと思います。どれみちゃんたちが大好きな皆さんと、映画を通して一緒に『おジャ魔女どれみ』の話がしたいです」。魔女見習いの百田がどんな魔法を見つけるのか、公開が楽しみだ。(取材・文・写真:実川瑞穂)