漫画「羣青」Netflixで映画化 水原希子&さとうほなみ共演で人を殺した女と殺させた女の愛憎描く
中村珍の漫画「羣青」が、『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』などの水原希子と、『窮鼠はチーズの夢を見る』などのさとうほなみの共演により映画化されることが26日、明らかになった。愛する女性のために殺人を犯す同性愛者のレイ(水原)と、そんな彼女が疎ましく恐ろしくもある七恵(さとう)の逃避行を描く物語で、監督は『ヴァイブレータ』(2003)『娚の一生』(2014)『ここは退屈迎えに来て』(2018)などの廣木隆一。『彼女』のタイトルで、オンラインストリーミングサービスNetflixにて2021年春に配信される。
発売当時、物議を巻き起こした漫画に基づく本作。プロデューサーの梅川治男いわく、原作「羣青」と出会ってから10年、廣木監督と企画をスタートして3年を経て映画化に至った。
同性愛者としての生きづらさを抱えるなか、高校時代から恋していた七恵のために彼女の夫を殺害する永澤レイ役に、昨年Netflixの米人気リアリティー番組「クィア・アイ in Japan!」への出演も話題を呼んだ水原希子。夫から壮絶なDVを受け人生に絶望する篠田七恵役に、人気バンド「ゲスの極み乙女。」のドラムスほな・いこかとして活動する一方で、朝ドラ「まんぷく」など女優としても活躍中のさとうほなみ。
レイ役の水原は、さとうとの共演を「七恵役のさとうほなみさんが居なかったらきっと乗り越えられなかったと思うほど、全てを曝け出して限界まで演じました。この役を演じて、愛するという事、生きていく上で大切な事がよりシンプルな物になった感覚があります」と述懐。さとうは、「“殺させた女”であるわたしは、常に『自分は天涯孤独だ』と思いながら撮影しておりました。温かい現場でありながらそのような気持ちで居続けられたのは良いチーム、良い作品だからこそ成し得たことです」とコメントしている。
脚本を、映画『PとJK』(2017)『私がモテてどうすんだ』(2020)などの吉川菜美が担当。テーマ曲を細野晴臣が務める。
廣木監督、出演の水原、さとう、原作者・中村、プロデューサーのコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)
Netflix映画『彼女』は2021年春、Netflixにて全世界同時配信予定
廣木隆一監督
原作の持つエネルギーの強さに引きずられ、女と女の映画を初めて監督させてもらいました。その中で性別を超えたものや超えられないものが見えて来ました。それで何をテーマにすべきかは一つだと。そして見えてきたものにすがりつき、ここまでプロデューサーとシナリオライターとスタッフ達とキャスト達と旅をしてきました。その旅を観客の皆さんと共有できれば最高だと思います。
水原希子(永澤レイ役)
夢にまで見た初めて愛した彼女と一緒に過ごした悪夢のような時間。彼女が知らない"愛"を証明する為に自分を犠牲にし、ボロボロになりながら奮闘する日々は、とても苦しく、今振り返っても胸が締めつけられます。七恵役のさとうほなみさんが居なかったらきっと乗り越えられなかったと思うほど、全てを曝け出して限界まで演じました。この役を演じて、愛するという事、生きていく上で大切な事がよりシンプルな物になった感覚があります。
さとうほなみ(篠田七恵役)
"殺した女と殺させた女"何とも恐ろしい言葉ではありますが...ずっと相容れず、どちらかが歩み寄ろうとするとどちらかが出て行ってしまう。でも離れられないこのふたり。何故か可愛く思えてしまう、そんなお話です。"殺させた女"であるわたしは、常に「自分は天涯孤独だ」と思いながら撮影しておりました。温かい現場でありながらそのような気持ちで居続けられたのは良いチーム、良い作品だからこそ成し得たことです。出演者、スタッフの皆さま、原作者の中村珍さん、そして廣木監督、水原希子さんに感謝。是非お楽しみに、お待ちいただければと思います。
中村珍(原作者)
ルーツは「羣青」という漫画ですが「原作の再現」だけが映像化の最適解ではないので、題も人の命名も、脚本も、「彼女」を作る皆様にお任せしました。原作に心を寄せた人が別解釈に抵抗を感じたり、逆に、原作を苦手な人が映画で愉しめたり、それぞれあると思います。原作の人物に寄り添って頂けることも幸いですし、映画化にあたっては同じルーツの物語が別の姿で愛されるかもしれない機会を得ることに最良の意義を感じています。
梅川治男(プロデューサー)
原作「羣青」と出会ってから10年、廣木監督と企画をスタートして3年。テレビや映画では難しいこの企画を、Netflix坂本EPにご賛同いただき、ふたりの瑞々しいキャストを得て、この夏に撮了しました。心揺さぶるエンターテインメント映画になっていると思います。来年の公開を是非ご期待ください。
坂本和隆(エクゼクティブ・プロデューサー/Netflix コンテンツ・アクイジション部門ディレクター)
「多様性」という言葉を超えて、「人を愛することに限界はあるのか」という根源的なテーマを描いた原作を元に、これまでに様々な「愛」を映し出してきた廣木隆一監督と共に新たな作品を生み出すことができることを嬉しく思います。こうした普遍的なストーリーを現代的な視点で視聴者の皆さまにお届けできますことを楽しみにしております。