吉田美月喜、唯一無二の存在目指し「自分らしく考えすぎずに!」
ドラマ「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」や映画『鬼ガール!!』など話題作への出演が続いている新進女優・吉田美月喜。そんな彼女の最新作が小説を音楽にするユニットYOASOBIの4枚目のシングル「たぶん」の原作小説を原案に映画化された『たぶん』だ。コロナ禍で大切な人と離れ離れになることを余儀なくされた女子高生・江口を演じた吉田が、作品の魅力や女優としての目標などを語った。
現在17歳、現役高校生の吉田。演じた江口も高校生でスポーツ部のマネージャーという役柄で、ある意味等身大の女の子だ。台本を読んだとき、江口という役についてある程度イメージはあったというが、Yuki Saito 監督とは「ロケ地となる伊豆地方に行ったとき、台本に表現されている以外の感情が湧き出るかもしれない」と話したこともあり、あまり役柄を作り込まず、撮影現場での感情を大切にしようと作品に臨んだことを明かす。
吉田の言葉通り、互いに想い合いながらも別れなければならないサッカー部員・川野(寄川歌太)とのシーンは、いい意味での生々しさが感じられ、高校生のリアルな日常を切り取っているようだった。「寄川くんは関西出身の方で、フレンドリーに接してくださったので、緊張することなく、あまり演じているという意識がないままカメラの前に立てました」と撮影を振り返る。
コロナ禍での自粛によって運命が大きく変わってしまう江口。シチュエーション自体にもリアルさを感じたという吉田。「わたしも自粛中はなかなか人に会うことができず、高校自体も一時期お休みになっていました。オーディションにも参加できず、一人でいる時間が増えたので、必然的に自分のことを考える時間が多くなりました」。
大きく変わったのは意識の変化。自分について考える時間が増え、正面から心に向き合った結果、導き出されたのが「考えすぎないこと」。これまでいくつもオーディションを受けてきたという吉田だが「ここを頑張ろう」「前回の反省をいかそう」と前もって考えれば考えるほど、良い結果が出なかった。
肩ひじ張らず「時に身を委ねてみよう」と思って臨んだ『たぶん』のオーディション。Yuki Saito 監督の話しやすい人柄もあり、ありのままの自分を出すことができた。役を得られたことも喜びだったが、それ以上に「素の自分」で勝負できたことが吉田にとっては大きな経験になった。
このことは、吉田が目標とする女優像にも繋がる。「まだまだダメなところばかりなのですが」と前置きしつつも「将来は『この役は吉田美月喜にやってほしい』と言われるぐらいの女優さんになりたい」と未来に思いを馳せる。
唯一無二の女優になるために、「やっぱり自分らしくいることだと思います。しっかりと自分を持ってブレずにいることで、自信にも繋がる。憧れの俳優さんたちは、みなさんすごく芯があって凛とされている。たくさん現場を経験して、先輩方のいろいろな部分を吸収していきたいです」と目を輝かせる。
「やりたいことはなんでもやりなさい」という両親の教育方針のもと、すくすくと育った吉田。バレエやテニス、バスケットボールなど「毎日なにかしら体を動かしてきました」と、これまでを振り返ると「そうした身体能力をお芝居に活かせていければと思っています。また精神面もいろいろ鍛えられたので、強みにしていきたい」と前を向く。
日常に起こり得ることは「すべて運命だから」という母の教えを胸に、自分らしくいることを大切に突き進む女優道。「来年18歳になると、もっとお仕事やオーディションの幅も増えると思うので、自分らしく頑張っていきたいです」と決意を語った。(取材・文・撮影:磯部正和)
映画『たぶん』は公開中