「麒麟がくる」滝藤賢一の涙が鳥肌モノ!35回は将軍・足利義昭の回
6日に放送された大河ドラマ「麒麟がくる」第35回では、明智光秀(長谷川博己)が決死の覚悟で将軍・足利義昭と対話する場面が描かれ、義昭演じる滝藤賢一の涙ながらの熱演が「鳥肌モノ」と反響を呼んでいる(※一部ネタバレあり)。
第35回「義昭、まよいの中で」では、織田信長(染谷将太)を排除しようとする政所頭人・摂津晴門(片岡鶴太郎)らが、信長のブレインである光秀の殺害を決行。信長を支える一方で、あくまで将軍を守ることが武士の使命とする光秀が義昭に、今こそ幕府を腐敗させている摂津らを排除すべしと進言するさまが描かれた。
義昭には二度にわたって見せ場があり、初めが駒(門脇麦)との場面。光秀が近江・坂本で築城を進めるなか、義昭は光秀の力を封じるべく妻子を人質として京に留め置こうと画策。駒がそれでは光秀が離れていってしまうと義昭を取りなそうとすると、義昭は幕府を動かしているのは摂津であり、摂津らが離れれば孤立無援になること、摂津に優柔不断だととがめられても言い返せない己が情けないと取り乱し、今や生ける屍であることを吐露した。
二度目は、光秀が義昭主宰の茶会に招かれたときのこと。駒の機転、伊呂波太夫(尾野真千子)の協力によって光秀はあらかじめ細川藤孝(眞島秀和)から摂津らが命を狙っていることを聞かされるが、藤孝の制止も退け覚悟したかのように義昭のもとへ。摂津の放った刺客に襲われ傷の痛みに耐えながら、都に平安を取り戻そうと志を一つにしていた3年前を振り返り、摂津ら古きものを捨て去る良い区切りと進言。「信長様が道を外れるようなら坂本城はただちにお返しし、この城で公方様をお守りいたす所存」と訴える光秀に揺さぶられ、義昭はついにある決断を下した。
光秀を前に大粒の涙を流していた義昭だが、「言うておくぞ。信長とわしは性が合わぬ。会うたときからそう思っていた」と言い放つ時には鬼の形相に。演じる滝藤は、摂津らの操り人形に甘んじていた己のふがいなさ、比叡山を焼き討ちにした信長への憎悪などさまざまな激情を体現し、視聴者を「すさまじいの一言」「ゾクゾクさせられた」「目がすごかった」「鳥肌が立った」と興奮させた。
放送後、公式Twitterには滝藤のコメントが投稿され、滝藤は義昭の葛藤を「義昭の心を壊したのは摂津だと思う。摂津が今の幕府の諸悪の根源だということもわかっていた。でも、元僧侶だった義昭としては、比叡山の焼き討ちで、女・子どもまで殺した信長のことはもっと許せない。だから、光秀の言葉を信じ、光秀に頼るほかなかったんでしょうね」と分析。
クライマックスの長谷川との共演シーンについて「芝居をしていて、エクスタシーみたいなものを感じる瞬間があるんです。相手に集中して、気持ちがのってきて、全ての状況が受け入れられる瞬間がある・・・。長谷川さんとのシーンでは、それが連発した。だからもう、楽しくて楽しくてしかたがなかったです」と振り返っていた。(編集部・石井百合子)