『ワンダーウーマン 1984』目指したのは80年代映画
ガル・ガドットが圧倒的なパワーと知性を兼ね備えたヒーローを演じるアクション大作『ワンダーウーマン 1984』。世界中のファンから支持され、DC映画を代表する存在となった前作に続いてメガホンを取ったパティ・ジェンキンス監督は、今回、自身に多大な影響を与えた1980年代のような映画を目指したという。
ワンダーウーマンことダイアナは、屈強な戦士がそろったアマゾン族が暮らす、外界から隠された島の王女として生まれ、幼いころから厳しい戦闘訓練を積んできた戦士。第1次世界大戦が舞台だった前作で、島に不時着したアメリカ陸軍大尉のスティーブ(クリス・パイン)から、世界が争いの真っ只中にあることを知り、平和のために未知の外界へと旅立つ姿が描かれた。
『ワンダーウーマン 1984』では、それから約70年を経た1984年が舞台となり、スケールが大幅にアップ。世界をめぐる大スクリーンに相応しいアクションに加え、ダイアナとスティーブのロマンス、ダイアナに匹敵する力を誇る悪役チーターとの争い、人類滅亡の危機を招く実業家マックスをめぐる人間ドラマなど、さまざまな要素が詰め込まれた娯楽大作となった。ジェンキンス監督にとって、本作の重要な鍵となったのが、映画の舞台でもある、1980年代の名作だったという。
この時代の映画で青春をすごしてきたジェンキンス監督は「私が観て育った映画には、あらゆる要素が詰まっていました。アクション、恋愛、悲劇、ユーモアといったもの全てがね」と振り返る。「今回は、私も最高の形でそういった映画を作りたいという思いがあったんです」
「スティーヴン・スピルバーグ、リチャード・ドナー、ロバート・ゼメキス……彼らの映画は、私に大きな影響を与えました。そして、この映画にもね。スタッフやキャスト陣にも、この作品は、あのころのような映画なんだと伝えました。80年代を嘲笑するのではなくて、あの時代にいるような映画にしたいと考えて、映画全体のペースやスタイル、アプローチに至るまで、かなり影響を受けています」
なかでも重要な作品が、リチャード・ドナー監督の『スーパーマン』(1978)。ジェンキンス監督にとっては、幼少期に初めて感動で涙した映画でもあり、全ての作品に影響を与えてきたという。「ドナー版の『スーパーマン』は、私の全作品に影響を与えています。壮大な世界観や、観客に少しづつキャラクターについて語りかけていく手法であったり、あらゆる面においてね」。本作では、完全無欠な存在であったダイアナの抱える葛藤が映画の重要なテーマとなる。ジェンキンス監督は「『ワンダーウーマン』では、1作目でヒーローの誕生を描きましたが、今回は自分の持つ力をどのように使うのか悩み、選択していく物語が描かれます。もちろん、彼女の葛藤の中身はスーパーマンとは違うけれども、同じ道のりを歩んでいるんです」と語っている。(編集部・入倉功一)
映画『ワンダーウーマン 1984』は12月18日より全国公開