芦田愛菜、16歳の今を支える両親の教え
お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣による大ベストセラー絵本をアニメーション化した『映画 えんとつ町のプペル』(12月25日より全国公開)で、主人公の少年・ルビッチの声を担当した女優の芦田愛菜(16)。父の教訓を心に刻み、夢を追い続けるルビッチの姿に共感したという芦田が、今も自身を支える両親の教え、そして映画を通して学んだ友情の大切を語った。
本作は、累計発行部数60万部(2020年12月現在)という異例の大ヒットを記録している同名絵本を、作者の西野自身が製作総指揮・脚本を務め、『鉄コン筋クリート』『海獣の子供』のSTUDIO4℃がアニメーション制作を手掛けた物語。煙に覆われた町を舞台に、星を信じる少年・ルビッチ(芦田)が、ゴミから生まれたゴミ人間・プペル(窪田正孝)とともに、空に輝く星を見つける大冒険の旅に出る。
年下の男の子役に最初は戸惑った
西野が描いた想像力あふれる原作を読み、「友情の素晴らしさにとても感動した」という芦田。「プペルとルビッチがあまりにも魅力的だったので、彼らが動いている映像をぜひ観てみたい! と素直に思いました。絵本としても、ずっと持っていたくなるような特別な一冊。さみしくなった時とか、何かに迷った時とか、ふとした瞬間に開きたくなる、そんな魅力を持った作品だなと思いました」と称賛する。
芦田が声を担当するキャラクター、ルビッチは、唯一の友だち・ゴミ人間のプペルとともに冒険の旅に出る男の子。「最初にお話をいただいた時は、どんな声が適切なのか想像もつかず、正直、戸惑いました。男の子で、しかも私よりかなり年下。少し幼い感じがいいのか、主人公らしくキリッと話す方がいいのか、不安を抱えたまま録音現場に行ったのを今でも覚えています」と振り返る。
ただ、芦田を熱烈指名した西野本人から、作品への思いとともに、「そんなに作らなくていいよ、愛菜ちゃんのままでいい」という言葉をもらってから吹っ切れた。「余計なことは考えず、ルビッチの気持ちだけを感じて演じ切ろう」と。結果、役にのめり込んだ芦田の声は、ルビッチにイキイキとした命を吹き込んだ。
両親の教えが今の“芦田愛菜“を支えている
空を煙に覆われ、いつしか希望を持たなくなった“えんとつ町”の住人たち。その中でルビッチの父・ブルーノ(立川志の輔)だけは「煙の向こうのその先には、星があるかもしれない」と言い続け、夢を信じることの大切さを問い掛ける。そんな父の教えを守って、ルビッチは、たとえ孤独になっても信念を貫こうとするが、芦田自身も両親の教えが「今の自分を支えている」としみじみ語る。
「私は両親から『挨拶すること、そして感謝の気持ちを言葉にすること。これを忘れないようにしなさい』と厳しく教えられました。挨拶って短い言葉だけれど、小さい時って、恥ずかしくて、『言おうかな、どうしようかな……』って迷ってしまうと、なかなか言えなかったりするんですよね。でも、モジモジしてイヤな雰囲気にしてしまうくらいなら、自分から率先してきちんと挨拶しようと。感謝の気持ちもそうですよね。皆さんの支えがあって、私はここにいられると思うので、その気持ちを『言葉に出して伝えること』を大切にしていきたい」と思いをかみしめる。
さらに、劇中、唯一の友だち・プペルに対してルビッチが「星があるかわからないけれど、ないこともわからない」と語り掛けるシーンがとても印象的だったという芦田。「できるかどうかはわからないけれど、『できない』と決めつけてしまうのも、あきらめてしまうのも自分自身。『とりあえずチャレンジしてみようよ!』っていうメッセージがそこに込められているような気がして、とても勇気が湧きました」と声を弾ませる。
また、くじけそうになった心を献身的に支えてくれたプペルの存在に「改めて友だちの大切さを感じた」とも。「私はどちらかというと心配性なところがあるので、大きな一歩を踏み出す時はプペルのような友だちが側にいてくれたら心強いですね」とニッコリ。さらに「この映画を観て、改めて思ったのですが、お仕事でくじけそうになることはたくさんありますが、それは決して悪いことではないなと。そういう失敗や経験が『次に向かってがんばろう』というバネにもなるし力にもなる。そんなふうにポジティブに捉えていきたいです」と希望を込めた。(取材・文:坂田正樹)