麒麟がくる“染谷信長”の名シーンをプレイバック
「麒麟がくる」(NHK総合・毎週日曜20時~ほか)で染谷将太演じる織田信長について、圧巻の演技が際立つ名シーンを振り返ってみた。
父・信秀に首を持参して激怒させる
第9回「信長の失敗」で、帰蝶(川口春奈)が信長の父母・信秀(高橋克典)と土田御前(檀れい)に挨拶したときのこと。帰蝶が父・道三(本木雅弘)からの贈り物を信秀に献上した際に、信長も得意満面に松平広忠(徳川家康の父/浅利陽介)の首を持参。しかしこれが信秀の逆鱗に触れ、信長は打ちひしがれた表情で「わしは、父上に褒めてもらえると思うて……」と声を震わせ、父と心を通わせられない悲哀をのぞかせた。
嫁の父・斎藤道三を圧倒
第14回「聖徳寺の会見」で道三と対峙した信長。大勢の家臣を引き連れけん制する道三に対し、おびただしい数の鉄砲隊を引き連れた信長。しかしなかなか姿を見せず、道三がしびれを切らしたころに登場すると、この日の準備がすべて帰蝶が仕組んだものであることをあっさり白状。自身を“たわけ”と自虐的に話し、道三を圧倒した。
弟・信勝を死に追い込む
第18回「越前へ」では、織田の内部で謀反の兆しが見られ、信長は弟の信勝(木村了)と敵対することに。策士な妻・帰蝶の助言もあり、病と偽って信勝と対面する決意をするが、その際に信勝は見舞い品として毒入りの湧き水を持参。母に愛されなかった苦悩を打ち明けつつ、涙を流しながら「お前が飲め」と信勝を恫喝する表情が「恐ろしすぎる」と反響を呼んだ。
母・土田御前と決定的な絶縁
信長が弟・信勝を死に至らしめたことによって、母・土田御前との確執は決定的なものに。第19回「信長を暗殺せよ」では土田御前が広間に佇む信長に厳しい言葉を投げつけたあと信長の頬に触れ、「母も殺したのです……」と泣き崩れた。母に愛されない信長の孤独が浮かび上がった。
「桶狭間の戦い」で不遇の時代を振り返る
第21回「決戦!桶狭間」では、2万5,000もの今川軍にわずか3,000余りの織田軍が立ち向かうさまが描かれた。織田軍が今川を討ち取ったのち、加勢に駆け付けた明智光秀(長谷川博己)との対話シーンでは、「見事でございます」と勝利を祝う光秀に、信長は感無量の様子。「これまで何をしても誰も褒めてくれなかった」と報われなかった過去を振り返り、哀しみ、怒り、喜びなどさまざまな感情をにじませた。
躊躇なく神仏を焼き尽くす
比叡山を襲撃し、織田と対立する朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)を擁護する延暦寺の天台座主・覚恕(春風亭小朝)の腹心を皆殺しにした信長。光秀が罪悪感に苦しむ一方で、無数の首を見て勝利に酔いしれる信長。光秀の手柄を意気揚々と褒める信長だが、光秀が命令に反して「女子供は逃がした」と白状すると、途端に「聞かなかったことにする」と冷ややかな表情に(第34回「焼討ちの代償」)。
宝物・蘭奢待を手に恍惚の表情
第37回「信長公と蘭奢待(らんじゃたい)」では将軍・足利義昭(滝藤賢一)が信長を討つべく進軍。しかし、武田信玄(石橋凌)の死というまさかの出来事によって力を失った義昭は織田軍に捕らえられ、信長は権力の頂点に。信長は天皇の許しがなければ拝観できない宝物「蘭奢待(らんじゃたい)」の切り取りを行い、これまで切り取りを行ってきた歴代将軍の名と肩を並べることで自身の力を誇示。蘭奢待を手に恍惚とした表情は狂気をにじませ、視聴者をくぎづけにした。
第7回「帰蝶の願い」で初めて姿を見せた信長。朝焼けを背景に舟に乗った信長が神々しく登場し、漁師たちから慕われる親しみやすい人物として描かれていた。徐々に光秀との溝が深まりつつある信長だが、「本能寺の変」への道筋はどのように描かれるのか。2月7日の最終回まで、あとわずか。(編集部・石井百合子)